2008 Fiscal Year Annual Research Report
猫伝染性腹膜炎ウイルスの感染機序の解明とそれを標的とした抗ウイルス療法の確立
Project/Area Number |
19688015
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
遠藤 泰之 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (90332600)
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Keywords | 猫伝染性腹膜炎 / ウベニメクス / 抗ウイルス活性 |
Research Abstract |
猫コロナウイルス(FCoV)には、猫伝染性腹膜炎(FIP)を引き起こすFIPウイルス(FIPV)と、ごく軽度の腸炎しか起こさない猫腸内コロナウイルス(FECV)がある。FCoV感染症に対する原因療法は確立されていないが、近年FCoVのレセプターがアミノペプチターゼN(APN)であることが明らかにされたことから、APN阻害剤であるウベニメクスに着目し、平成18年度よりこれに関する基礎的検討(萌芽研究課題番号18658127)を行ってきた。その結果、ウベニメクスの細胞毒性は極めて低く、またI型FIPVを接種した細胞ではウイルス増殖の抑制は認められなかったが、II型FIPVを接種した細胞においては、ウベニメクスの濃度依存性にウイルス増殖抑制効果が認められることを確認した。この結果をさらに発展させるために本研究計画では、ウベニメクスの猫に対する治療薬としての可能性を探るin vivoでの基礎的検討を行うと共に、FIPVと宿主細胞との接着に関わる詳細な機序の解析を計画した。その結果、平成19年度にはin vitroで確認された抗ウイルス活性を示すウベニメクスの濃度が、猫へのウベニメクスの経口投与により再現できることが明らかとなった。さらに平成20年度にはこのウベニメクスの猫への毒性は極めて低いことを明らかにした。またウイルスと宿主細胞の接着に関しては、I型あるいはII型FIPVのS蛋白を発現する細胞株を作出することを試みることで、ウイルス蛋白とレセプターとの相互作用とウベニメクスの作用点を明らかにし、治療薬としての可能性を模索していく予定である。
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