2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品の調理加工におけるポリフェノール化合物の消長と機能性の変動に関する研究
Project/Area Number |
19700585
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
竹中 真紀子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品工学研究領域, 主任研究員 (60353968)
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Keywords | 食品 / 調理 / 機能性 |
Research Abstract |
本研究では、食品の機能性が大きく変動するポイントである褐変現象に注目し、食品の調理加工中に起こる褐変物質の生成について、その特性を明らかにするとともに、食品の調理加工の現場においてこれらの褐変物質の生成を制御することにより、従来よりも高品質な食品を製造するための知見を得ることを目的としており、平成23年度は食品の加工において非酵素的褐変により発生する機能性物質の例としてオニオンエキス、酵素的褐変に伴い機能性成分が減少する例としてジャガイモ(塊茎)等をとりあげ、オニオンエキスについては、加熱の工程においてラジカル消去活性が最も高まった時点における活性本体の分子量の見積もりおよび単位重量あたりのラジカル消去活性の評価を行うこと、ジャガイモについては、加熱モデルを用いて機能性成分の保持に有効な加熱温度(履歴)を見出すことを計画していた。 オニオンエキスの疎水性相互作用を利用した固相抽出の各画分のラジカル消去活性の評価により、活性本体の褐変度およびラジカル消去活性は、単位固形量あたりで比較すると疎水性が高い画分ほど大きかった。また、ラジカル消去活性が最も高い画分は、固形分1mgの活性がタマネギの主要な抗酸化成分であるケルセチン約0.14mg分の活性に相当することを確認した。オニオンエキスは製造工程にお.いて抗酸化活性が著しく向上するが、その活性本体は幅広い褐変度およびラジカル消去活性を有する混合物であり、メラノイジン様物質であると考えられる。 ジャガイモの50-100℃の各温度における加熱モデルにより、ジャガイモの代表的な抗酸化成分であるクロロゲン酸類は60-85℃で酵素反応により減少し、また90-100℃では異性化が進行したがクロロゲン酸総量はほとんど変化しなかった。ジャガイモのクロロゲン酸類は塊茎の表層に局在しており、これらの保持には急速加熱が有効であると考えられた。
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