2007 Fiscal Year Annual Research Report
帝国日本の自然誌研究:台湾・南洋諸島・琉球列島を中心に
Project/Area Number |
19700661
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
瀬戸口 明久 Osaka City University, 大学院・経済学研究科, 助教 (90419672)
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Keywords | 植民地科学 / 昆虫学 / 鳥類学 |
Research Abstract |
本年度は,戦前期日本における自然誌調査について,以下の3点を中心に研究を進めた。実施計画段階では,台湾・琉球列島を中心に研究をすすめる予定だったが,両地域に限らず,日本の支配地域全般における昆虫学者・鳥類学者の活動について検討した。 (1)戦時期の日本の昆虫学者たちの食糧増産体制への組み込みや,化学兵器研究との関連について,国際生物学の歴史・哲学・社会学会(ISHPSSB)で発表し,本研究と関係するテーマをあつかう海外の研究者らと交流した。 (2)名和昆虫研究所(岐阜市)にて戦前期の研究所の活動状況について資料調査をおこなった。研究所が所蔵する財務関係書類から,名和昆虫研究所と国との関係が明らかになった。また所長の名和哲夫氏らに戦後の活動状況について聞き取りをおこなった。この成果は,来年度出版される著書の一部として発表される。 (3)日本における初期の鳥類学者の活動について調査し,とくに植民地における活動について明らかにした。その結果,日本における鳥類学の成立が,宮内省主猟局が管理する御猟場制度と深く結びついていることが明らかになった。本成果については,ヒトと動物の関係学会第58回月例会で報告した。現在は,台湾,朝鮮半島,中国大陸,ミクロネシアなどにおける鳥類学者の活動について研究を進めつつある。 以上のような研究は,まだ初期段階ではあるが,戦前期における自然誌研究が,帝国日本の拡大とどのような関係にあったのか明らかにする端緒となるものである。
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Research Products
(2 results)