2008 Fiscal Year Annual Research Report
帝国日本の自然誌研究:台湾・南洋諸島・琉球列島を中心に
Project/Area Number |
19700661
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
瀬戸口 明久 Osaka City University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90419672)
|
Keywords | 鳥類学 / 狩猟 / 進化論 |
Research Abstract |
本年度は以下の3点を中心に研究を進めた。 (1) アメリカ占領下における自然誌研究 8月に全米科学アカデミーアーカイブにて、占領下の沖縄における自然誌調査についての資料を収集した。そのほか同時期にジョンズ・ホプキンスにて開催された東アジア科学史会議にも出席し、台湾・韓国などの研究者と交流した。 (2) 戦前期日本の自然誌研究と天皇制 日本における鳥類学の成立が、天皇の御猟場制度と結びついていることを明らかにし、日本科学史学会第55回年会にて発表した。同時にそこでは、大正期以降の植民地自然誌研究と皇族とのつながりについても明らかにした。以上の研究成果は論文「狩猟と皇族」として『動物観研究』第13号に発表した。さらに宮内庁書陵部が所蔵する史料を調査し、現在、日清・日露戦争期の宮内省における動物園事業と自然誌研究との関係を検討中である。 (3) 日本における進化論受容史をめぐる言説分析 本研究課題は当初の研究計画にはなかったものだが、2009年のダーウィン進化論150周年記念シンポジウムにあわせて研究をおこなった。ここでは、これまでの日本におけるダーウィン記念行事において、どのような進化論受容史が語られたか検討し、歴史認識が時代的な文脈から受けた影響について明らかにした。以上の研究成果は日本科学史学会生物学史分科会シンポジウム「ダーウィン進化論の誕生と波紋」にて報告した。
|
Research Products
(2 results)