Research Abstract |
平成19年度中に,研究代表者は2007年7月と2008年3月の2回に分けて,対象村落において,時系列的な復元と,現状の横断的な比較という二つの側面を重視した調査を行った.時系列的な復元に関しては主に1985年(海南島で生産請負制が始まった年)から2006年までの21年間を対象とした(1)マイクロデモグラフィー調査(再生産歴)と,(2)対象集団の土地利用調査(水田,焼畑,畑,換金作物畑,二次林)を実施した.一方,横断的な調査については主に(3)小型GPSと加速度計を用いた生活時間調査,(4)直接秤量による食事調査,(5)栄養状態評価を目的とした生体計測,(6)質問紙による生活満足度の調査,などである.時系列的な復元に関するデータは,政策がどのような道筋で人々の生活および彼らが依存している自然環境に影響を与えているという問題の解明に寄与する.横断的な調査結果は対象者の健康状態,栄養状態及び生活満足度客観的な評価に寄与する.これらのデータを,研究対象者が居住する村落の自然社会環境,世帯の環境利用状況,市場経済化の程度などとの関連において分析し,人々の健康と両立する農村開発および森林環境保護のためのモデル構築に基礎的な知見を提供する.このほか,特筆すべきは,対象者の環境利用パターンを解明するために,小型GPSと加速度計を用いた生活時間調査方法を検討した.具体的に,対象村落住民の協力のもと,小型GPSを用いた日常生活移動経路データと,加速度計を用いて日常生活の身体活動レベルのデータを収集した.移動経路と身体活動レベルがそれぞれ時間情報と位置情報に着目し,VBA(Visual Basic for Application)言語を用いたプログラムを開発することで,2つのデータと村落の土地利用情報を統合した.その結果,個人の行動/環境利用パターンを時間,位置,場所,身体活動レベルの4つの側面から関連づけて分析することができるデータベースを構築することができた.
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