2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際的労働移動に関する理論的研究-移民政策は経済成長にとってプラスか-
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19730149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土居 潤子 Kansai University, 経済学部, 准教授 (00367947)
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Keywords | 外国人労働者 / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究は、少子高齢化を迎え外国人労働者を受け入れるか否かの検討を火急に迫られているわが国だけではなく、グローバル化が進み労働が国境を越えて自由に移動する時代となったEU、また、海外からの送金が経済発展に欠かせなくなっている途上国という様々な観点から論じることを目的としている。その中で、本年度は、外国人労働者の受け入れが自国民との摩擦を生み出し、外国人排斥運動などが起こっている現実に着目して、移民を受け入れたときに起こりうる様々な経済的摩擦の原因を明らかにする、という問題に取り組んだ。この目的のため、移民が自国民とはすぐに同化しないという設定を取り入れた世代重複モデルを構築し、High SkiledとLow Skilledの両方の移民を受け入れた場合において、自国民の間における(1)High SkilledとLow Skilledの間の摩擦(2)受け入れ世代とそれ以外の世代の間の摩擦(3)若者世代と老年世代の間の摩擦、について検討した。自国民のHigh SkilledとLow Skilledの賃金は、移民の受け入れにより、資本分配の変化と労働生産性の変化の両方の影響を受ける。その結果、High SkilledとLow Skilledの賃金は、変化の方向が異なる場合、すなわち、受け入れる移民の生産性の差によっては、High Skilledの賃金は上昇するが、Low Skilledの賃金は減少する場合があることが明らかになった。こうした賃金の変化は、経済全体の資本蓄積にも影響を及ぼし世代間の摩擦を引き起こすことも示された。
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Research Products
(1 results)