2009 Fiscal Year Annual Research Report
国際的労働移動に関する理論的研究-移民政策は経済成長にとってプラスか-
Project/Area Number |
19730149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土居 潤子 Kansai University, 経済学部, 准教授 (00367947)
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Keywords | 外国人労働者 / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究は、国際的労働移動が起こった場合に、受け入れ国、あるいは送り出し国が、どのような経済的影響を受けるか、ということを理論的に明らかにしようとする試みである。その中で、移民を受け入れたときに自国民の間に起こりうる様々な経済的摩擦の要因を明らかにする、という問題に取り組んだ。このため、移民が自国民とはすぐに同化しないという設定を取り入れた世代重複モデルを構築し、熟練労働者と非熟練労働者の両方の移民を受け入れた場合に、自国民の間にどのような経済的変化をもたらすかということを検討した。 本研究の分析によれば、移民の受け入れにより、自国民の熟練労働者と非熟練労働者の間に、人口構造の変化と生産性の変化がもたらされることにより、熟練労働者と非熟練労働者の間の賃金の変化の方向が異なる場合があることが分かった。すなわち、受け入れる移民の生産性の差によっては、熟練労働者の賃金は上昇するが、非熟練労働者の賃金は減少する場合があることが明らかになった。こうした賃金の変化は、経済全体の資本蓄積にも影響を及ぼし世代間の摩擦を引き起こすことも示すことができた。また、公共財を導入して厚生水準にどのような影響をもたらすかについての検討を行った。この研究は"Immigration Conflicts"(趙来勲教授(神戸大学経済経営研究所)との共著)としてまとめ、2009年度日本経済学会春季大会(於京都大学)等で報告した。摩擦を解消するための政策について、さらに検討を加えることで、新たな知見が得られるものと期待できる。
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Research Products
(1 results)