2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活モデル理論に基づく高次脳機能障害者の就労支援に関する研究
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19730365
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
志水 田鶴子 Sendai Shirayuri Women's College, 人間学部, 講師 (70326750)
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Keywords | 高次脳機能障害 / 高次脳機能障害者 / 就労支援 / 対人関係 / プログラム / ステップアップ / コミュニケーション障害 / 就労支援プログラム |
Research Abstract |
本研究はM県にある作業所が実施している生活モデル理論に基づいた高次脳機能障害者の就労支援の有効性を明らかにすることが目的である。 今年度は、高次脳機能障害者個々の障害特性と支援内容、期間、プログラムの導入の経過の把握、アウトプットとしての勤務状況や仕事の質が保たれているか、仲間との協力関係などを軸に継続的に効果評価を実施した。就労支援に移行した直後から (1) 出勤退勤時間を遵守できる (2) 通院などによって休む場合には予め届けを出せる (3) 体調管理等を行うことができる (4) 清潔な衣類を身に付け、職場でも歯磨きなど清潔保持が可能 (5) 決められた役割が果せないことがあると、スタッフに相談ができるといったことから確認することができた。しかしながら、 (1) 仲間との協力関係 (助けを求められない、人に仕事の依頼ができない) (2) 丁寧な仕事 (きめ細かい作業が苦手) (3) 集中力に波がある等、就労支援プログラムを2年継続して実施している障害者であっても課題を抱えていることが分かった。特に仕事上で必要となる、状況の変化に応じて仲間同士 (同じ障害を抱えている者同士であるため、共に対人関係が稚拙であるという障害を抱えている可能性がある) が助けを求めたり、サポートしたり、といった行為が困難であった。状況が急激に変化しない環境においては、それぞれが役割を果すことができるが、臨機応変な対応を迫られる場面においては、コミュニケーション障害が顕著に現れることが確認された。着実に一般就労へと移行できる障害者害がいるなかで、就労支援プログラムの定着に時間を要する障害者の存在も見受けられたため、就労支援プログラムへの適応の段階から評価を改めて行う必要性が明らかとなった。
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