2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730420
|
Research Institution | Mie Chukyo University |
Principal Investigator |
丸山 真名美 Mie Chukyo University, その他, 講師 (40413314)
|
Keywords | 認知発達 / 時間概念 / 時間表現 / 言語発達 |
Research Abstract |
本研究は、時間管理能力の育成のための基礎的知見となる時間に関する認知能力の発達プロセスとメカニズムを明明らかにすることである。発達プロセスとメカニズムを詳細に検討するために縦断的手法を用いる。 平成19年度においては、縦断調査の第一回調査を行った。時間概念を測定する目的で時問表現の測定を行った。当初計画していた「時間表現課題」は、対象児に近い過去、現在、近い未来における出来事や予定について会話するように求めるものであった。しかし、実際に実施したところ場面設定などの問題点が明らかになった。そのため、時間表現を測定するものとして、研究代表者がこれまでに開発使用してきた「生活時間記述課題」と「カード分類課題」の2種類を同一対象児に行った。 「生活時間記述課題」とは、一日の活動のスクリプトを言語報告するものである。「カード分類課題」とは、一日の活動16個を1つずつ描いたカードをまとまりに分類することである。両者とも、報告や分類結果から時間概念の様相とくに時間構造の階層性を検討するものである。つまり、「生活時間記述課題」は言語的表現、「カード分類課題」は空間的表現の観点から時間概念(構造)を検討することになる。 「生活時間記述課題」は、高次な構造から順に「高階層化」「中階層化」「低階層化」、「カード分類課題は、高次な構造から順に「階層的構造化」「全体的構造化」「非構造化」に分類した。分析の結果、「生活時間記述課題」で「高階層化」に分類されても、「カード分類課題」で「全体的階層化」に分類されるものが多いことが示された。つまり、時間表象は言語的報告によるもののほうが空間的表現によるものよりも階層性が高いもの、すなわち高次な時間構造が示されることが明らかになった。これは、空間表象とは反対の結果であり(Uttal, 2006)、時間表象の特徴の検討のための示唆が得られたといえる。
|