Research Abstract |
本研究は,実験的-フィールド研究モデルに基づいて,日常生活場面での個人の健康関連行動や健康状態がストレス場面にどのような影響を及ぼすかについて明らかにすることを目的とした.本年度は,大学生を対象に健康関連行動調査を実施し,望ましい健康行動を実施している個人と実施していない個人を抽出し,実験室でのストレス実験を行った.また,GHQ-28,CES-D,主観的幸福感を基準に健康状態についても同様の研究を実施し,以下のような知見を得た. 1: 実験的-フイールド研究の実験(健康行動の影響) 主観的ストレス反応については,望ましい健康行動を実施している個人に比べ実施していない個人は強い心理的負担を示し,free-MHPGでも同様パターンを示した.作業成績については,望ましい健康行動を実施している個人の方が概ね良かった.以上の結果から、望ましい健康行動を実施している者は,日常生活場面でのストレス状況下でも,上手く対処し,ストレス反応を低減している示唆される。 2: 実験的-フィールド研究の実施(健康状態の影響) 健康状態の良い個人は,スピーチ課題に,s-IgA,コルチゾール,心拍,LF/HF波が上昇し主観的ストレス反応も認められたが,健康状態の良くない個人では,s-IgAやコルチゾールなどで上昇しなかった.健康状態の良い個人は,スピーチ課題時に,HF波と緊張覚醒,時間的プレッシャー及びフラストレーションとの間に負の相関が認められた.すなわち,健康状態のよい者は、ストレスに対し生態が正常に反応しているのに対して、良くない者は、正常に反応しないアロスタティク負荷状態に陥っている可能性が示唆される。 3: 3年間の研究成果の報告 本研究にて得られた知見を,日本心理学会第73回大会のワークショップにて研究の一部を発表するとともに,日本ストレス学会,日本健康心理学会において一般発表を行った.
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