2008 Fiscal Year Annual Research Report
現実的な電子状態を反映した強相関電子系の有効模型の構築とその物性評価
Project/Area Number |
19740195
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
今井 剛樹 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (10396666)
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Keywords | 強相関電子系 / 希土類化合物 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本研究では相関の強い糸に対して、信頼性の高い有効模型を構築して物性に対する定性的および定量的評価を試み、相関効果の物性への影響を理解することを目的とする。希土類化合物は希土類原子のf電子と伝導電子が物性に深く与することが多く、遷移金属酸化物と比較して有効模型の構築が困難である。そこでf^<13>系である希土類Ybベースの化合物YbAI_3に対して、可能な限り調整するパラメータを少なくするという方針のもと、有効模型の構築を試みた。最終的な調整パラメータはf電子レベルおよび混成の大きさの2種類のみであったが、高エネルギーおよびフェルミレベル付近の構造はバンド計算の結果と大筋で一致した。また本手法は結晶場効果なども容易に取り入れることができるものであった。その一方でこの模型では、YbAI_3の比熱係数は実験値の三分の一以下に見積もり、またその温度変化で見ちれる2つのピーク構造も定性的にも再現できなかった。そこでこの模型を出発点にとり、さらにf電子に働く電子間反発力の影響を考慮した。その結果、比熱係数および温度変化による構造の両者を定量的にも再現することができ、YbAl_3におけるバンドの構造と相関効果の影響にういて詳細に議論するととができた。そしてこれから、希土類化合物の定量的な物理現象を議論する際に構築した模型が出発点とできる可能性を示しだ。
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Research Products
(7 results)