2009 Fiscal Year Annual Research Report
現実的な電子状態を反映した強相関電子系の有効模型の構築とその物性評価
Project/Area Number |
19740195
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
今井 剛樹 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (10396666)
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Keywords | 強相関電子系 / 希土類化合物 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本研究では強相関電子系に対して、信頼性の高い有効模型を構築して物性に対する定性的および定量的評価を試み、相関効果の物性への影響を理解することを目的とする。希土類化合物は局在性の強い希土類原子のf電子と空間的に広がった伝導電子が複雑に絡み合って新奇な物性をもたらしている。 これまでf13系である希土類Ybベースの化合物YbA13に対して、可能な限り調整するパラメータを少なくするという方針のもと有効模型の構築を行った。その結果得られたバンド構造および光学伝導率はバンド計算および実験結果と矛盾しないものであった。しかしながら電子比熱係数の大きさおよびその温度依存性については定性的な一致も見られなかった。そこで構築した模型を出発点に相関効果を考慮し物理量を求めた。その結果、低温側で見られる比熱の特異な温度変化は相関効果に起因している可能性を示し、また温度依存性についても定量的に議論することができた。また本手法を他の複数の希土類化合物にも適用し、得られた有効模型のバンド構造などはバンド計算や一部の実験ともなどとも矛盾しないことも確認しており、現在はその相関効果の影響、および定量性について解析している。このように希土類化合物の物理現象を定量的に議論する際に、本手法で構築した模型が1つの出発点となる可能性を示した。また平成21年11月に京都で開催された新学術領域研究「重い電子系の形成と秩序化」若手秋の学校の講師として招待され、"現実的なバンド構造を考慮した強相関電子系の理論"という題目で、参加した大学院学生に講演を行った。
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Research Products
(6 results)