2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740259
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
印出井 努 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 研究支援員 (30420409)
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Keywords | 会合高分子 / レオロジー / 架橋構造 / 疎水性凝集 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
物理ゲルの架橋構造がレオロジー挙動に与える影響について研究した。ある種の高分子が形成する物理ゲルは、さまざまな架橋構造をとる。例えばpoly(vinyl alcohol)のような結晶性高分子間の微結晶生成による架橋や、カラギナンのような多糖類のヘリックス間会合による架橋等などがあげられる。これらの系の粘弾性と分子構造の関係を調べるため、有限の長さの1次元配列架橋構造を持つ会合高分子系を扱うことができる理論を構築した。鎖の両端でのみ会合が起こり得るテレケリック高分子に対する理論を拡張して、両端部の架橋領域がAAAA-BBBBBB-AAAAのように一次元構造をもつものを扱えるようにした(Aは会合部、Bは非会合部)。会合・解離の連鎖性を考慮して、隣の会合基が会合状態にあるときのみ、その隣の会合基も会合できるものとした。また、会合状態にある会合基は、両隣のどちらか一方が会合状態にあるときだけ、自分自身も解離できるものとした。この仮定の下で複素弾性率を計算した。数値計算には前年度までに購入したハイパフォーマンス計算機を利用し、また数式処理にはソフトウェア(Mathematica)も利用して解析を進めた。その結果、架橋領域の長短、および結合率の大小に応じて、複素弾性率のプロファイルが変化することが示された。結合率と解離率が同程度の大きさを持つ場合は、架橋領域の長短に関わらず、架橋領域が点とみなせる場合と同様にマクスウェル型のプロファイルを示す。一方、解離率に比べて結合率が大きいときは、架橋領域の長さの変化に対して弾性率プロファイルが大きく変化することが分かった。特に、最長緩和領域がマクスウェル的な挙動からはずれることが示された。この理由は、末端会合領域の連鎖性のため、架橋領域の結合寿命の分布が複雑に広がるからである。結果として、粘弾性の緩和スペクトルが単純な単一緩和からはずれるのである。
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