2009 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下における真空中の絶縁体表面の暗電流測定と実時間帯電測定
Project/Area Number |
19760191
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山納 康 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (30323380)
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Keywords | 真空 / 表面抵抗 / 暗電流 / 体積抵抗 |
Research Abstract |
宇宙環境下における材料劣化の原因の一つである原子状酸素が照射されたポリイミドフィルムについて、真空環境下で表面抵抗率や体積抵抗率を測定した。また、耐原子状酸素として開発された特殊コーティングされたポリイミドフィルムについても同様に調査した。その結果、原子状酸素が照射されたポリイミドフィルムは照射により材料表面が浸食されているものの、表面抵抗率や体積抵抗率に対しては変化が無いことが明らかになった。また、特殊コーティングされたポリイミドフィルムについては、コーティング材の影響でポリイミドフィルムだけのときの表面抵抗率や体積抵抗率と値は異なるが、原子状酸素の照射の有無によっては表面抵抗率や体積抵抗率に違いは生じないことが明らかになった。 宇宙機における特殊材料である黒色塗料や耐デブリ材料であるベータクロスについても、大気中および真空中で体積抵抗と表面抵抗の測定を行った。その結果、表面抵抗率は、真空中の値が大気中のものと比べて上昇することが明らかになった。一方、体積抵抗率も大気中と真空中では体積抵抗率においても変化し、真空中で体積抵抗率が増加することが明らかになった。真空中での測定後、乾燥空気を入れて同様に表面抵抗率や体積抵抗率を測定したところ、これらの値に変化はほとんど生じなかった。また、電子顕微鏡による観察の結果と併せて、これらの抵抗率の変化について考察すると、黒色塗料は多孔質な材料であること、ベータクロスはガラス繊維の織物にテフロンの一種を含浸させた材料であることから、大気から真空中に環境が変化することで、材料表面に付着した水分の影響で抵抗率に違いが生じたことが明らかになった。 また、真空環境下で70℃の状態でポリイミドフィルムについて表面抵抗率の測定を行ったところ、常温と比べて、70℃程度の環境下では表面抵抗率に変化が生じないことが明らかになった。
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