2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋腐食を生じた鉄筋コンクリート部材のせん断耐荷性能評価
Project/Area Number |
19760303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 貴士 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (70335199)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 鉄筋腐食 / せん断耐荷性能 / せん断耐荷力算定式 / 斜め引張破壊 / アーチ耐荷機構 / コンクリート負担せん断耐力 / 付着性能 |
Research Abstract |
コンクリート構造物の代表的な劣化である中性化や塩害に起因するコンクリート構造物中の鉄筋腐食劣化は,RC構造の耐荷性能の根幹を成す鉄筋の断面減少および鉄筋とコンクリートの一体性低下をまねき,構造物あるいは部材の耐荷性能の低下を引き起こす恐れがある.RC構造の耐荷性能は,構造物の安全性,使用性に直接係わるものであるため,定量的な性能の予測技術の確立が必要不可欠である. しかし,RC構造部材中には様々な機能を期待された鉄筋があり,鉄筋腐食劣化で比較的検討の対象に多く挙げられる引張主筋の腐食の影響だけでなく,圧縮主筋,せん断補強筋あるいは横拘束筋などの腐食の影響も検討する必要がある.そこで,本申請課題では,これらの腐食の対象となる鉄筋の種類を研究要因として,それぞれの腐食の影響を明らかにしてせん断耐荷性能の評価手法の提案を行った. (1) 主筋の腐食が生じたRC部材では,斜め引張破壊を生じない可能性があるものの,そのせん断耐力は,現行のせん断耐力式に,ダウエル作用による抵抗力の低下を主筋断面の減少として考慮することで,斜め引張破壊を生じる場合には適切に,また,アーチ耐荷機構を形成する場合には安全側に評価することができる. (2) せん断補強筋の機械的性質が低下した場合,せん断補強筋の断面積の減少,および降伏点の低下によって,せん断補強筋負担せん断力Vsが低下する.また,せん断補強筋の付着性能が低下した場合,せん断補強筋の役割のうち,せん断ひび割れ幅の拡大を抑制する効果が低下することで,コンクリート負担せん断力Vcが低下する. (3) 主筋およびせん断補強筋の腐食が生じたRC部材のせん断耐荷特性は,主筋の腐食による影響,およびせん断補強筋の腐食による影響を複合して受ける.
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