2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト基本転写因子TFIIEの全体構造解明に向けたNMRによるドメイン構造解析
Project/Area Number |
19770090
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
奥田 昌彦 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 客員研究員 (60448686)
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Keywords | 蛋白質 / 転写 / 遺伝子発現 / NMR / 立体構造 |
Research Abstract |
真核生物の転写にはRNAポリメラーゼIIのほかに5種類の基本転写因子(TFIIB、 TFIID、 TFIIE、 TFIIF、 TFIIH)が必要である。これらのタンパク質がプロモーターDNA上で逐一集合し転写開始複合体を形成する。TFIIEはTFIIHをリクルートし転写開始複合体形成を完了させる。また、TFIIEとTFIIHは協調しながら転写の開始だけでなく、伸長段階への遷移においても重要な役割を果たす。しかしながらその重要性に反し、両者の相互作用の詳細については不明であった。本研究では、ヒトTFIIEのαサブユニットのC末領域にある酸性(Acidic: Ac)ドメインとヒトTFIIHのp62サブユニットのN末領域にあるプレクストリン相同(Pleckstrin homology: PH)ドメインが特異的に相互作用することを見出した。TFIIEαACドメイン、およびp62PHドメインとの複合体の立体構造を核磁気共鳴(NMR)装置を用いて決定し、認識の様子を詳しく調べた。TFIIEαACドメインのN末テールは未結合時には構造をとらなかったが、p62PHドメインとの結合時には、βストランドを含む一定の構造を形成し、PHドメインの塩基性表面に広く巻き付いていた。また、N末テールだけでなく、コア構造も結合に寄与していた。興味深いことに、TFIIEαのACドメインのp62PHドメイン上の結合部位の一部が、がん抑制タンパク質p53や単純ヘルペスウィルスVP16の酸性転写活性化ドメインとの結合部位と重なり合うことが明らかになった。しかし、結合様式は全く異なっていた。機能解析を結果も踏まえ、p62のPHドメインの分子スイッチとしての可能性を提案した。 本研究の成果は、ヒトTFIIEの全体構造解明のみならず、現在世界で推し進められている転写開始複合体構造決定への有益な情報を提供する。
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