2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770189
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 洋輔 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50401211)
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Keywords | 細胞・組織 / 移植・再生医療 / 再生医学 / 発生・分化 / シグナル伝達 / 筋衛星細胞 / 自己複製 |
Research Abstract |
本年度は骨格筋幹細胞の休眠状態への移行を誘導する培養系について検討を行うとともに,骨格筋幹細胞の活性化の分子機構について精査した.骨格筋幹細胞の休眠状態への移行については主に細胞株C2C12を用いて培養条件の探索を行った.C2C12細胞は高濃度の血清存在下では一様に未分化な状態で増殖を続けるが,血清濃度の低下により分化形質を示す筋管細胞と未分化な状態に留まるリザーブ細胞が出現することが報告されている.リザーブ細胞は休眠状態の骨格筋幹細胞に相当するものと考えられているが,その検出にはマーカーを探索する必要があったため抗アポトーシス分子であるBcl-2がリザーブ細胞特異的に発現することを明らかした.そして,培養条件の操作によるリザーブ細胞の誘導を試みたところ,PDGF-BBおよびTGF-βがプレ・リザーブ細胞と考えられる細胞を選択的に増加させることが判明した.さらに,FGF-2,PDGF-BBおよびTGF-βを同時に作用させることによって,より強力にプレ・リザーブ細胞を誘導できることが明らかになった.今後はプレ・リザーブ細胞のリザーブ細胞への転換を検証するとともに,初代培養細胞についても確認を行う.骨格筋幹細胞を休眠状態へと誘導する培養方法の確立により,休眠状態化の初期に変化する遺伝子発現を調べることが可能となる.骨格筋幹細胞の活性化についてはリザーブ細胞がインスリン存在下でEGF,FGF,あるいはPDGF-BBにより活性化されること,成長因子によってスフィンゴシンキナーゼの阻害剤であるDMSに対する感受性が異なることを明らかにした.骨格筋幹細胞の活性化の分子機構を解明することにより,不活性化に関する重要な知見を得ることができると期待している.
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