2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全型農業のための、イネのリン欠乏ストレス応答形質の単離と機能解析
Project/Area Number |
19780006
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
清水 顕史 The University of Shiga Prefecture, 環境科学部, 助教 (40409082)
|
Keywords | 環境保全型農業 / ストレス応答 / リン欠乏 / 環境修復 / 遺伝解析 / 遺伝育種学 / ストレス耐性 / ホスファターゼ |
Research Abstract |
リン肥料の投入を減らし環境への負担を抑えた持続的農業を実現するためのイネ育種に向けて、2種類の有用遺伝子(1)と(2)の探索を行った。 (1) リン欠乏によって誘導される根の伸長(Root Elongation under Phosphorus deficiency, REP)というストレス応答形質については、低リン環境への適応性向上を示し、染色体6長腕に検出されたqREP-6の精密マッピングを行ってきた(Shimizu et al.2008 Theor Appl Genet)。平成21年度はこの遺伝子の単離に向けて候補領域の絞り込みを進めた。つまり、多検体用のイネのDNA抽出法と効率的な電気泳動システム(Shimizu and Kawasaki 2009 Rice Sicence)を用い、形質を挟みこむDNAマーカーの探索と領域の絞込みが行えた。 (2) リン欠乏ストレスに応答して酸性ホスファターゼ(APase)活性が上昇する形質については、品種間差の確認を行なった。リン欠乏区および対照区で水耕栽培したイネ葉身毎のAPase活性を経時的に調査したところ、4週目(齢)以降で処理区間の差が大きくなり下位葉が上位より大きく、リン欠乏区5週目の品種カサラスの下位葉は日本晴の下位葉よりも数倍高くなることが確かめられた。このリン欠乏誘導性APase活性の上昇が植物体内のリン利用に及ぼす影響を観察するため個葉別のリン含量比較したところ、リン欠乏区で4週目に下位葉を切断した個体の5週目の上位葉のリン含量は有意に低下することが明らかになった。この結果は、本形質がリン利用効率を高める可能性を示唆する。 以上、イネのリン欠乏ストレス応答形質の単離に向けての研究を進めることができた。本研究課題は平成22年度継続予定であったが、最終年度前年度応募に採用されたため、基盤(C)(課題番号22580010)にて成果を引き継ぎ研究を進める。
|