2008 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの子宮におけるToll-likeレセプターを中心とした感染防御機構の解明
Project/Area Number |
19780233
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
喜田 加世子 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (50405362)
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Keywords | イヌ子宮蓄膿症 / 自然免疫 / TLR / defensin / SLPI / 生殖器感染 |
Research Abstract |
発情休止期早期に頻発するイヌ子宮蓄膿症の発生機構を解明するため、本研究では子宮内における自然免疫反応の変化に着目し、昨年度は主にToll-like receptor(TLR)2および4について調べたが、昨年度、TLR2の蛋白分布は調べることができなかった。そこで本年度はまず、TLR2蛋白の発情周期中および子宮蓄膿症に罹患したイヌ子宮内膜での発現分布を免疫組織染色法で確認したところ、TLR2は全群において管腔および腺上皮細胞に発現しており、染色強度にも特に差がないことがわかった。次に、本年度の研究計画に基づき、子宮内の感染防御因子と考えられる抗菌ペプチドdefbnsinとsecretory leukocyte protease inhibitor(SLPI)のイヌ子宮内膜におけるmRNA発現の発情周期中変化と子宮蓄膿症罹患犬での発現をRT-PCR法を用いて調べた。その結果、defensinのmRNAは発情休止期早期と発情休止期中期で強く発現していること、さらに子宮蓄膿症でも発現していることが確認されたが、発情前期および発情期ではほとんど発現していないことがわかった。SLPImRNAについては、発情休止期35日目と子宮蓄膿症罹患犬で強く発現していることがわかったが、その他の周期ではほとんど発現していないことがわかった。昨年度および本年度の結果から、TLR2発現は発情周期中に変化しないこと、子宮内の抗菌ペプチドは子宮蓄膿症で増えていることからイヌ子宮内の感染防御に関与していること、さらにSLPI発現に関しては、子宮蓄膿症の発生が少なくなる発情休止期35日で特に増えているころからこのころの子宮蓄膿症発生を防止している可能性が示された。これらの知見はイヌでは初めてのものであり、本症やその他の子宮内感染症も含めた、予防および治療法の開発に対して、有意義であると思われる。
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