2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規うつ病治癒メカニズム解明に向けたアストロサイトに発現するNdrg2の機能解析
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19790849
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高橋 弘 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所 老人精神保健部, 外来研究員 (20415582)
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Keywords | 抗うつ薬 / アストロサイト / 発生 / 分化 / 電気けいれん / microarray / real time PCR法 / western blot法 |
Research Abstract |
これまで、うつ病の治癒メカニズムに関連する脳内分子システムを探索するために、抗うつ薬長期投与によりラット脳内で発現量が特異的に変化する遺伝子をDifferential Cloning法により探索し、得られたcDNAをスポットしたmicroarrayを開発・解析、real timePCR法及びwestern blot法による定量解析を行ってきた。その結果、Ndrg2(N-Mycdownstream regulated gene2)の発現が、薬物的うつ病治療法(抗うつ薬投与)及び物理的うつ病治療法(電気けいれん負荷)で共通して減少していることが明らかとなった。さらにこの発現減少は、抗うつ作用の臨床効果発現時期と時間的に一致していたことより、Ndrg2がうっ病の治癒メカニズムに深く関与している可能性が考えられた。しかし、Ndrg2の中枢神経系での機能は、ほとんどわかっていない。昨年度の研究により、Ndrg2が、胎児期の脊髄で細胞分裂が盛んな神経管内側に発現することを明らかにし、神経幹細胞の機能に関与することが考えられた。近年、成獣においても、海馬歯状回の穎粒細胞下層(SGZ)及び側脳室下帯(SVZ)に神経幹細胞・前駆細胞が存在することが報告されている。そこで、本研究では成獣の神経幹細胞におけるNdrg2の発現を検討した。細胞周期のS期に取り込まれることから成体脳で神経幹細胞のマーカーとなるBrdUをラットに投与し、Ndrg2とBrdUの蛍光二重免疫染色を行った。Ndrg2は、BrdU陽性細胞と共染色され、成獣のSGZ及びSVZにおいても神経幹細胞に発現していることが明らかとなった。一方、未熟な神経細胞のマーカーであるdoublecortinとは共染色されなかった。本研究により、うつ病治癒メカニズムに関与するNdrg2が神経幹細胞の機能に関与する可能性が考えられた。
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[Journal Article] Neuroserpin is expressed in early stage of neurogenesis in adult rat hippocampus.2010
Author(s)
Yamada, M., Takahashi, K., Ukai, W, Hashimoto, E., Saito, T., Yamada M.
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Journal Title
Neuroreport 21
Pages: 138-142
Peer Reviewed
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[Presentation] A glutamate release inhibitor rapidly attenuates hyperemotional responses in OBX rats.2009
Author(s)
Inagaki, M., Takahashi, K., Saitoh, A., Yamada, M., Iwai, T., Nakaani, A., Murasawa, H., Yoshida, M., Yamaguchi, K., Yamada, M.
Organizer
The 1st Meeting of the Asian College of Neuropsychopharmacology
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都府)
Year and Date
2009-11-13
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