2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療抵抗性に関わる腫瘍内微小環境のイメージングと時空間的解析
Project/Area Number |
19790868
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80362531)
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Keywords | 放射線 / 生体イメージング / 腫瘍(がん) / 低酸素 / 微小環境 |
Research Abstract |
低酸素環境に曝された細胞はhypoxia-inducible factor-1(HIF-1)という転写因子を活性化し、環境への適応を図る。HIF-1の活性化はがんの転移、浸潤、血管新生、化学放射線治療抵抗性を誘導することが報告され、腫瘍増殖過程でHIF-1活性が如何に活性化するのかが重要な研究課題となっている。本研究では、固形腫瘍内のHIF-1活性をリアルタイムに可視化するシステムを確立し、HIF-1陽性細胞を治療標的とする意義を確認することが出来た。得られた研究成果は以下の通りである。1)以前より我々が開発を進めてきた「HIF-1依存的にルシフェラーゼを発現する5HREp-lucレポーター遺伝子」に改良を加え、低酸素応答性を約47000倍にまで高め、よりリアルタイムにHIF-1活性の変動を感知するレポーター遺伝子5HREp-ODD-lucを構築することに成功した。2)我々は以前より「HIF-1発現細胞のアポトーシスを誘導するタンパク質製剤(TOP3と命名)」の開発を進めてきた。本研究ではTOP3を利用して、がんの放射線治療抵抗性にHIF-1が如何に寄与しているのかを解析した。HIF-1は放射線治療後の腫瘍血管新生に必須であり、これを抑制することによって放射線治療後長期にわたって腫瘍血管密度を低く抑え、結果として腫瘍増殖を大幅に遅延させることが可能であることが明らかになった。3)上記1にて構築した低酸素応答遺伝子発現システムを利用し、HIF-1陽性細胞を標的とする遺伝子治療用ベクターを開発した。本遺伝子治療を放射線治療と併用することによって、相乗的な腫瘍増殖抑制効果が見られることを明らかにし、上記2にて示したHIF-1を治療標的とする意義を改めて確認することに成功した。
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