2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷再生医療における神経栄養因子を用いた内・外因性神経幹細胞の分化制御
Project/Area Number |
19791023
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 University of Fukui, 医学部附属病院, 助教 (10397276)
|
Keywords | 脊髓損傷 / 神経栄養因子 / 神経幹細胞 / 分化制御 / 逆行性遺伝子導入 |
Research Abstract |
機械的圧迫・損傷を受けた脊髄再生には、神経栄養因子関連物質の補充とそれによる内因性神経幹細胞の活性化が必須である。これらを損傷部位に非侵襲的に達成するために、我々は、髄内への直接投与ではなく、target organからの逆行性神経栄養因子遺伝子導入を行い、残存ニューロンの生存維持、再生能力の賦活化効果、神経幹細胞の分化制御について解析することを目的として研究を行った。β-galactosidase,mouse BDNF,Nr-3,GDNF遺伝子を組み込んだ非増殖型adenovirus vector(AdV-LacZ,BDNF,NT-3,GDNF)を作製した。実験動物には、(1)急性脊髄損傷:頚髄圧挫損傷モデル、(2)慢性脊髄圧迫モデル:twy mouseを用いた。急性脊髄損傷モデルに対し、胸骨乳突筋からAdV-BDNFを導入した研究では、主に前角細胞の神経保護効果が確認され、またapoptosis抑制効果も確認された。慢性脊髄圧迫モデルに対しても、AdV-BDNF、AdV-NT-3の逆行性導入により前角細胞の神経保護効果、軸索伸長を確認した。 逆行性導入は、障害脊髄に対して非侵襲的であり、直接導入と遜色ない導入効率を示し、持続するneurotrophic supportのため前角細胞に対して有用な保護効果が得られると考えられ、急性脊髄損傷のみならず、脊髄圧迫障害にも応用可能であることが示唆された。上記研究では、胸骨乳突筋をtarget organとしたが、損傷高位に応じてtarget organの選択が可能(胸髄は頚腰髄と比較して導入効率が低下するが)であることを確認した。内因性神経幹細胞発現は少なく、十分な機能回復にはつながらないため、外因性神経幹細胞移植と共に、逆行性神経栄養因子遺伝子導入を併用することでさらなる効果が期待され得ると思われる。
|