2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷再生医療における神経栄養因子を用いた内・外因性神経幹細胞の分化制御
Project/Area Number |
19791023
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 University of Fukui, 医学部, 助教 (10397276)
|
Keywords | 脊髄損傷 / 逆行性導入 / 神経栄養因子 / 遺伝子治療 / 分化制御 |
Research Abstract |
脊髄損傷では、内因性神経栄養因子の欠乏による微小環境の変化が、neuronの細胞死、軸索変性、大部分の幹細胞のastrocyteへの分化誘導など、損傷を助長させ再生を困難にしている大きな要因の背景となっていると考えられている。このことから、神経栄養因子を外因性に投与することは合理的と考えられる。投与方法としては、髄内直接投与、クモ膜下腔投与、経静脈的投与などが報告されているが、それぞれ侵襲性や効率、他臓器への影響などの問題点を抱えている。我々はこれまで、脊髄に(1)非侵襲的(2)目的部位に効率的に導入(3)他臓器に影響を与えない、などの点で有利と考えられるmuscle(target organ)からの逆行性導入の手法を用い研究を行ってきた。逆行性に導入された神経栄養因子は理論的には軸索流を介し前角細胞に導入され、autocrine, paracrine機構を介し、周囲の神経グリア系細胞にも賦活化効果をもたらすものと考えられる。逆行性導入は軸索流を介したアプローチであるため、直接導入は前角細胞のみと考えていたが、今回の研究の結果からは、興味深いことに脊髄損傷の環境下ではグリア系細胞への直接的な導入も確認された。mechanismについてはさらなる検討を要すが、軸索の破綻、astorocyte, microghaの遊走、貪食作用など損傷後の脊髄内環境が関与している可能性が考えられる。神経栄養因子遺伝子逆行性導入により、neuron, oligodendrocyteのapoptosis抑制および、oligodendrocyteの前駆体のmakerであるNG2の発現上昇が確認された。逆行性導入では、neuronからautocrine、paracrine機構を介したtorophic effectsが神経保護効果の主なmechanismと考えられるが、グリア系細胞によるtorophic effectsの助長の可能性も示唆され、neuronやoligodendrocyteのapoptosis抑制、分化誘導をひとつの機序として、神経保護効果、再生能力賦活化効果をもたらすと考えられた。
|