2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 嘉寛 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10346794)
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Keywords | 関節発生 / ヘパラン硫酸 / 肢芽 / 前軟骨性凝集 |
Research Abstract |
高齢化社会を迎え、変形性関節症などの関節疾患は増加の一途をたどっており、その治療法の早期開発が望まれる。近年、関節軟骨再生に関する基礎的な知見が急速に集積されているが、関節の発生に対する研究は進んでいない。われわれは、細胞外マトリックスのひとつであるヘパラン硫酸(Heparansulfate: HS)を、肢芽特異的に欠損させることにより、関節を欠いた変異マウスを得ることに成功している(変異マウス)。 本研究の目的は、この変異マウスを用いて関節発生の分子メカニズムを解析することである。肢芽の形成の後、肢芽の遠近(指〜肩)、前後(母指〜小指)、背腹軸にそってパターンが形成される。続いて、肢芽内では間充織細胞が集合して前軟骨性凝集(Precartilagenous Condensation;PCC)が形成される。PCCは伸長した後、分枝、分節され四肢組織のテンプレートとなり、骨格構造が完成する。上記の各ステップの中で、関節発生には初期のパターン形成からPCCの分節化のステソプが最も重要であると考えられる。 平成19年度は、変異マウスの初期パターン形成、およびPCC分節化に焦点をしぼり解析を行った。肢芽の正常な遠近パターンの確立には肢芽形成初期に外胚葉性頂堤(Apical Epidermal Ridge;AER)が形成され、FGF-8、FGF-4などの増殖因子が産生される必要がある。変異マウスにおいては、AERの形成、FGF-8, FGF-4の発現はほぼ正常であった。このことは、変異増マウスにおいては初期の遠近パターンは保たれていると考えられる。引き続き、変異マウス肢芽において、PCCの分節化が生じていないことを見いだした。このことは、肢芽におけるHSはPCCの形成に必須であることを示している。
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