2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 嘉寛 九州大学, 大学病院, 助教 (10346794)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / 関節形成 |
Research Abstract |
変形性関節症などの関節疾患の罹患頻度は、高齢化に伴い増加を続け、その治療法の開発は臨床的に大きな意義を持つ。近年、関節軟骨分化、再生に関するメカニズムの理解がすすんでいるが、関節の発生そのものに対する知見の集積は十分でない。われわれは、細胞外マトリックスのひとつであるヘパラン硫酸(Heparan sulfate : HS)を、肢芽特異的に欠損させることにより、関節を欠いた変異マウスを得ることに成功している(変異マウス)。本年度は、この変異マウスを用いて関節発生を含む四肢発生の分子メカニズムを解析することを行った。 関節の形成においては、四肢発生時のMesenchymal condensation (MC)において、中央部での境界が指定、すなわち中間細胞層が形成されることが必須である。中間細胞層の形成にはPCC周囲の軟骨膜(pericondorium)からの骨形成蛋白質(Bone morphogenetic protein : BMP)分布が正確に制御される必要がある。われわれは、変異マウスにおいては、細胞表面でのHSの欠失のためBMPの生体内での分布が広範に広がり、その下流のエフェクター分子であるSmadのリン酸化が障害されていることを、micromass cutureなどの手法を用いて明らかとした。さらに、関節形成に必須な要素のひとつであるWnt情報伝達系の活性化が障害されていることを見いだしている。これらの成果は、HSの関節形成における役割を細胞生物学的に証明した画期的な成果である。
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