2007 Fiscal Year Annual Research Report
GJB2遺伝子保因者における歪成分耳音響放射障害の分子メカニズム
Project/Area Number |
19791237
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中澤 麻美 Juntendo University, 医学部, 助手 (60384111)
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Keywords | GJB2遺伝子 / Cx26 / コルチ器 / 有毛細胞 / DPOAE / 耳鳴り / 聴覚過敏 |
Research Abstract |
GJB2遺伝子によってコードされるCx26は、コルチ器内の微小なイオン環境の維持に関与している可能性が示唆されている。GJB2遺伝子変異の保因者においては、コルチ器内のイオン環境の微細な異常のため、有毛細胞の軽微な機能障害や単発的な変性が発生している機序が考えられる。そこで、このような外有毛細胞の微細な病態を(1)感度の高いDPOAEで検出し、(2)耳鳴り、聴覚過敏などの徴候との関連を調べた。対象症例として、聴力正常者かつ聴覚症状の訴え無し・聴力正常だが、耳鳴・聴覚過敏などの聴覚の状ありの2群と中等度感音性難聴者を検討した。病歴聴取・耳鼻咽喉科的所見として、耳鳴、聴覚過敏の発症時、時間経過を問診し、症状の程度に関してはvisual analogue scaleを用いて評価した。純音聴力検査、DPOAEの測定を行った。DNA検体の採取とGJB2遺伝子解析に関しては、これらの患者及び被検者から同意を得た上で採血を行い、血液よりDNAを精製した。 DNA検体について遺伝子解析を行い、GJB2遺伝子変異を検出した。GJB2遺伝子については、アジア人に特徴的な高頻度変異が同定されており、この高頻度変異に絞ったスクリーニングを行った。ミスマッチプライマーを用いたアリル特異的増幅を行いその増幅数をABI7700で蛍光検出する検査系を開発しており、PCR反応を行うだけで多数の検体について高頻度変異の検出が可能であった。 GJB2遺伝子については、アジア人特有の高頻度変異が同定されており、その変異に対するスクリーニング法も開発されたため、世界に先駆けてDPOAEを組み合わせたGJB2難聴遺伝子変異スクリーニングにより検出された変異保因者のsubclinicalな解析とDPOAEを用いた有毛細胞の機能障害についての有益な知見が得られた。
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