2009 Fiscal Year Annual Research Report
凍結培養細胞を用いた培養複合口腔粘膜の治癒機転を解明する
Project/Area Number |
19791499
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 貴寛 Niigata University, 医歯学総合病院, 医員 (30444178)
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Keywords | 組織工学 / 口腔粘膜上皮細胞 / 凍結保存 / 治癒機転 |
Research Abstract |
【目的】新潟大学では2000年より培養複合口腔粘膜(EVPOME)の臨床応用を開始し、米国ミシガン大学、神戸、富山との共同研究も行い、現在までに100例以上の症例を経験した。しかし、従来の方法では移植材作製のための組織片採取から手術までの期間が3~4週間に限定され、また複数回の手術にも対応できなかった。この問題点解決のために凍結培養細胞によるEVPOME作成を検討し、in vitroでは通常とほぼ同様の性状のEVPOME作成に成功した。今回EVPOME移植後の治癒機転の解明のため、ヌードマウス背部移植モデルを用いることにより、凍結培養上皮細胞の動態の解明を行った。【材料と方法】新潟大学医歯学総合病院口腔外科において、同意が得られた患者の小手術時に余剰となったヒト正常口腔粘膜を採取、細胞を単離、それを培養して増殖させた細胞により、そのままEVPOMEを作製したもの(非凍結EVPOME)、その細胞を1か月間凍結保存した後にEVPOMEの作製したもの(凍結EVPOME)の2群に分け比較検討を行った。2群のEVPOMEをヌードマウスの背部に10mmの切開を上皮層で行い、皮下に移植部を形成し、EVPOMEを移植、その上皮側にはシリコン膜を留置した。移植後1、2、3、5、7、9、11日目で移植部を切除し観察を行った。【結果】ヌードマウス背部移植モデルでは、非凍結EVPOMEでは移植後11日目まで、凍結細胞EVPOMEの移植後7日目までは重層化し連続したEVPOME上皮が認められたが、9日目以降では上皮は部分的に脱落する傾向にあった。【考察】凍結EVPOMEは、非凍結EVPOMEに比べやや活性は下がるものの、ほぼ同様の移植後の経過をたどることが示唆された。【今後の展望】凍結培養上皮細胞の活性を落とさないため、より活性の高い口腔粘膜上皮前駆・幹細胞の同定を行っていく予定である。
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