2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患患者のQOL向上のための情報提供に関する研究
Project/Area Number |
19791683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 真琴 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (50431763)
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Keywords | 看護 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)は、再燃と緩解を繰り返す特徴があり、患者は長期に疾と付き合ってゆかなければならない。しかし、再燃予防のための明確な指針はなく、療養に必要な情報提供内容には施設差が存在する。患者の健康関連QOLには、情報提供の重要性が強調されつつあるが、わが国のIBD患者への情報提供に関する研究は乏しい。そこで、本研究は、IBDの専門医がおり、外来通院患者数が多い施設で行われている情報提供の実態を調査し、以下を明らかにすることを目的とした。 1. IBD患者を多く経験している施設において提供されている情報内容 2. 患者の相談・指導に従事する医師、看護師、栄養士、医療ソーシャルワーカーが重要視する情報 平成19年度は、上記1.を明らかにすることを目的に、NPO法人日本炎症性腸疾患協会より患者用パンフレットを収集し、内容分析を開始した。 平成20年度は、IBDの専門医がおり、外来通院患者数が多い全国の施設(45施設)を対象に情報提供の実態を調査し、前年度に収集したパンフレット以外を用いて患者指導を行っている場合、その資料の提供を依頼した。34施設(回収率70.8%)より回答を得て、うち29施設がパンフレットを有していたが、新規に診断された患者に必ずパンフレットを渡していると回答した施設は15施設(44.1%)にとどまった。本邦でのIBD病患者への情報提供は、施設差があり、全国的には、十分でない可能性が高いことが示唆された。さらにIBDの1疾患であるクローン病患者用パンフレットを米国、英国、カナダより収集・分析し、わが国と比較した。日本は欧米と比較して(1)栄養療法に関する記載割合が高い(2)食事療法に関する記載割合が高い(3)薬物療法に関する記載割合が低い3点が明らかになり、これらは、疾患管理戦略に関する考え方の違いを反映したクローン病患者への情報提供の日本の特徴と考えられた。
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