2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患患者のQOL向上のための情報提供に関する研究
Project/Area Number |
19791683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 真琴 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50431763)
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Keywords | 看護学 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)は、再燃と緩解を繰り返す特徴があり、患者は長期に疾患と付き合ってゆかなければならない。しかし、再燃予防のための明確な指針はなく、療養に必要な情報提供内容には施設差が存在する。患者の健康関連QOLには、情報提供の重要性が強調されつつあるが、わが国のIBD患者への情報提供に関する研究は乏しい。そこでH20年度までに、わが国のIBD患者を多く経験している施設において提供されている情報内容の実態を調査し、本邦でのIBD病患者への情報提供は施設差があり、全国的には十分でない可能性が高いことが示唆された。また、欧米と比較して薬物療法に関する情報割合が低いことも示された。 そこで、本年度は、IBD患者の治療の中心となる薬物療法に関して、外来通院中の潰瘍性大腸炎患者246名を対象にアンケート調査を行った。242名(回収率98%)から回答が得られ、IBD治療の基本薬剤であるアミノサリチルサン製剤の内服に伴う困難として、以下の3因子12項目が得られた。1.内服に対する優先意識の低下(5項目)、2.副作用の不安(3項目)、3.処方薬の内服に伴う負担(4項目)。内服に伴う困難感のそれぞれの因子に対して関連要因を探索したところ、内服に対する優先意識の低下は、年齢が若く、医師への信頼が低く、非婚者で、ステロイド・免疫調整薬の内服経験がないほど感じやすく、副作用の不安は、女性、医師への信頼が低く、ステロイド・免疫調整薬の内服経験がないほど感じやすく、処方薬の内服に伴う負担は、女性、年齢が若く、罹病期間が短く、緩解維持期間が短く、医師への信頼が低いほど感じやすいという結果であった。薬物療法に関する情報提供支援としては、困難をアセスメントし個別性を重視した情報提供が有用である可能性が示唆されてた。
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