2008 Fiscal Year Annual Research Report
シンガポール地理カリキュラムに関する研究-わが国との比較を通して-
Project/Area Number |
19830007
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
吉田 剛 Miyagi University of Education, 大学院・教育学研究科, 准教授 (10431610)
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Keywords | 社会科 / 地理 / 教育政策 / カリキュラム / 比較教育 |
Research Abstract |
シンガポール地理カリキュラムの構造性を, 現地の学校視察や大学教官との意見交換などを通して追究した。それと, 我が国の中学校地理カリキュラムの潮流(とくに地理的見方・考え方に焦点を当てて)や, US, UKのナショナル地理カリキュラムの概要との比較・検討を行い, 我が国の地理カリキュラムの具体的な改善策を検討した。主な結果は次のとおりである。シンガポール中等地理はUS. UKのカリキュラムのフレームワークに近い内容(テーマやキー概念)や項目の序列立てから, 明確にカリキュラムが構成されている。とくに我が国以上に自然地理的内容が取り入れられ, 系統立つ。初等社会科ではCME・NEに関連する国民統合のための側面が強いが, 中等地理では自然科学や社会科学としての側面が強く, 国民統合的側面はかなり弱まる。総じて, 初等社会科と中等地理の系統性は弱いといえる。他方で, 初等社会科と中等社会科や中等歴史との系統性は, 中等社会科と中等歴史の担当者がほとんど同一なため, その高さは十分に推察でき, 社会科と歴史による国民統合の系統性は強い基軸となっている。シンガポールの場合、論述形式のテスト問題が重視され、説明力が求められてきたわけであるが, 概念的知識を中心にカリキュラム構成しているシンガポールの方が、「PISA」型読解力の向上には適し, 図表やモデル、写真や資料などの理解のために, 必ず説明を伴っている。また発問が強く意識され、自国を事例にするそのカリキュラム構成は, 概念的知識の理解や定着を促す, 特徴的な位置付けとなっている。
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