2007 Fiscal Year Annual Research Report
国境を越えるメディアがナショナル・アイデンティティに与える影響に関する研究
Project/Area Number |
19830061
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 結子 Keio University, メディアコミュニケーション研究所, 准教授 (30453533)
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Keywords | メディア / ナショナル・アイデンティティ / 国際移移動 / トランスナショナリズム / 日本人 |
Research Abstract |
平成19年度は、(1)1日本国内で生まれ育った日本人の若者(2)海外で育った日本人および日系二世の若者の2グループを対象に、国境を越えるテレビ番組、ビデオ、インターネット、携帯電話などのメディアの利用が、彼ら彼女らのナショナル・アイデンティティにどのような影響を与えているのかについて考察を行った。(1)先行研究や以前実施した調査をもとに、国内で生まれ育った20代の若者を対象に新たに分析を行った。その結果、このグループの若者は、メディア利用や教育を通して、単一民族国家観を抱き、日本のナショナル・アイデンティティを深く内面化している傾向が強いことが明らかになった。以上は「イギリスーエスニック・マイノリティのメディアとナショナル・アイデンティティ」(関根政美、塩原良和編『多文化交差世界の市民意識と政治社会秩序形成』慶應義塾大学出版会、2008年)、「文化移民-文化的活動をめぐる若者の国際移動」(渡辺秀樹・有末賢編『多文化多世代交差世界における市民意識の形成』慶応義塾大学出版会、2008年)などとして出版された。(2)ロンドンにおいて、イギリスまたはほかのヨーロッパ諸国で育った日本人・日系二世の20代の若者を対象に、ロン'ドンに流入する日本製・日本語のテレビ番組、ビデオ、インターネット、携帯電話の利用とナショナル・アイデンティティに関するインタビュー調査を行った。また、この内容をテキストに起こして分析を行った。先の(1)のグループとは異なり、一部の被調査者が、国境を越えるメディアの影響の下、複数のネイションに関わるトランスナショナル・アイデンティティともいえる意識を形成していることが明らかになった。来年度はこの調査結果を発表・出版する予定である。
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