2020 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀を中心とした軍事的学知をめぐる人と書物の交錯
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19H00547
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 眞子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70581833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 浩貴 東京電機大学, 理工学部, 講師 (00599863)
竹本 知行 安田女子大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (00631904)
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
丸畠 宏太 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (20202335)
斉藤 恵太 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20759196)
柳澤 明 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50220182)
長谷部 圭彦 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (60755924)
原田 敬一 佛教大学, 歴史学部, 名誉教授 (70238179)
佐々木 真 駒澤大学, 文学部, 教授 (70265966)
吉澤 誠一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80272615)
鈴木 直志 中央大学, 文学部, 教授 (90301613)
小暮 実徳 天理大学, 文学部, 准教授 (90537416)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 19世紀 / 軍人 / 書物 / 学知 / 移動 / 戦争 / 情報 / 外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルス感染症が世界的に流行し、変異株などの出現により手探りの状態で研究活動を行った。 ①早稲田大学高等研究所・「軍隊と社会の歴史」研究会との共催による公開講演会(フレックス)を10月に開催した。2020年4月と7月に開催予定だったものは1年延期し、2021年4月と7月にそれぞれ実施した。 ②科研集会は4回実施した。第1回~第3回では2本ずつ研究報告を行った。第1回と第4回はzoom、第2回と第3回はハイフレックスである。代表者会議は新潟で1回開催し、翌日は白壁兵舎広報館ほかの巡見を行った。長崎・平戸の視察はコロナのため2021年度に延期し、2021年8月5日~7日に実施した。2020年12月には福井市立図書館にて「越国文庫」の史料調査を実施した。海外での史料調査はできないが、日本にある海外の文献を探索し、その分析を通じて研究活動を続けることも重要であると認識した。 ③海外との共同研究については、リール大学より2020年夏に共同研究者が来日する予定だったが、コロナ流行により1年延期となった。2021年夏に高等研究所の訪問研究員として来日し、公開講演会やセミナーなどを開催した。2020年8月に開催予定だったEAJS(ヨーロッパ日本学会)が1年延期となり、2021年8月26日に研究代表者と海外の共同研究者3人で構成したパネルをzoomで発表した。研究代表者が執筆分担したMarkus Meumann, Andrea Puhringer編の”The Military in the Early Modern World”がドイツで出版された。 ④刊行された研究論文は多岐にわたり、zoom開催ではあったが学会発表も行った。金澤周作監修『論点・西洋史学』や石田勇治ほか編『ドイツ文化事典』の項目執筆を担当した者も目立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①コロナ禍のもと、4回の科研集会と1回の公開講演会、1回の代表者会議を開催することができ、6本の研究報告を聞くことで、第1グループ「軍人の移動と交流」と第2グループ「軍事関連書の翻訳・流通・受容」の相互理解が深まった。今後はzoomを利用した科研集会の回数を増やし、各自が作成しているデータを共有し、議論や発表を活発に行っていきたい。そこで出されたアイディアを反映させたデータベースを、最終的に構築できればと考えている。 ②12月に実施した福井市立図書館での「越国文庫」史料調査では、日本史、中国史、オランダ史、ドイツ史、フランス史、オスマン史の研究者が、フランスやドイツの軍事関連書物を一緒に閲覧し、相互の知識を披瀝することで一層理解が深まった。特に軍事的学知における翻訳の問題については、従来等閑視されてきたので、重要なテーマになると認識できた。 ③海外との共同研究については、2020年8月のEAJS(ヨーロッパ日本学会)が1年延期となり、2021年8月26日に研究代表者と海外の共同研究者3人で構成したパネルをzoomで発表した。海外共同研究者の1人が予定より1年遅れて、2021年7月~8月に高等研究所の訪問研究員として来日し、本科研の研究テーマに関する公開講演会やセミナーなどを開催した。また早稲田大学総合人文科学研究センターで行っている国際日本学について、フランスにおける日本学の見地からの講演会も実施した。研究代表者が執筆分担したMarkus Meumann, Andrea Puhringer編の”The Military in the Early Modern World”がドイツで出版された。 ④2020年度から繰越申請していた長崎・平戸の現地視察を2021年8月に行い、この視察の完了をもって、2020年度の当初の研究計画は予定通り実施された。
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Strategy for Future Research Activity |
①2021年度は各自が作成に着手しているデータベースを、ドロップボックスで共有し、統一項目などを検討する。具体的には各自の業績格納ファイル、作業用共有データファイルを設け、順次データをアップしていき、グループ内での議論と、グループ間の議論の双方を並行して共同研究を進めたい。 ②ハイフレックスとzoomのみの二種類の方法で、年に10回ほど科研集会を開く予定である。2020年度は新型コロナの状況が刻々と変化し、それに応じて計画案を調整するのに相当の時間を費やした。オンライン授業やハイフレックスの設置にも慣れてきたので、今後は逆にこの環境を利用して、遠方の分担者で上京できない人も科研集会に参加できるようにしたい。なお代表者会議については、研究の進展にあわせ、1回開催する予定である。 ③早稲田大学高等研究所との共催による公開講演会については、4月に「ドイツ植民地戦争論のなかの義和団戦争」、7月に「フランス陸軍将校デュ・ブスケ(ジブスケ)の国際移動と知の交流―第1次軍事顧問団少尉から兵部省・左院・元老院付御雇外国人、そして在日フランス領事」、10月に「維新期陸軍創設におけるヨーロッパ軍事学の影響」をハイフレックスで開催する予定で、すでに講師の依頼は終わっている。 ④2020年度からの繰越課題である長崎・平戸の現地視察と史料調査を実施する。また2021年1月に幕長戦争の関連史跡視察を行う。軍事的学知が導入され、実戦でどのように使われたのか、現地視察で確認したい。
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Remarks |
西願広望「フランス革命と戦争―戦争の世界化と多義化」中野隆生・加藤玄編『フランスの歴史を知るための50章』(明石書店、2020年)、鈴木直志「常備軍時代のドイツにおけるポリツァイと軍隊」・佐々木真「近世国家の統治システムと軍事」ともに『西洋史学論集』58号(2021年3月)、長谷部圭彦「オスマン帝国末期における法曹養成と宗教」『大学史研究』29(2021年3月)
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Research Products
(26 results)