2022 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの熱帯高山における氷河消滅が自然・生態系や地域社会に及ぼす影響の解明
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19H00557
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 一晴 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (10293929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 済 日本大学, 文理学部, 教授 (10239650)
手代木 功基 摂南大学, 国際学部, 講師 (10635080)
孫 暁剛 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (20402753)
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50462205)
荒木 美奈子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60303880)
中辻 享 甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80239855)
大谷 侑也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10964231)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境変動 / 氷河 / 植生遷移 / 水環境 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケニア山の地温データから、4790m地点の表層でほぼ毎日、日周期の凍結融解が確認された。20cm以深では通年で0℃を下回らず、永久凍土の不存在が確認された。同地点の大きな周氷河地形は過去の形成と推測される。 2023年8月のケニア山のセスナ空撮画像から作成されたDSMと、2019年8月のDSMとの差分から、ルイス氷河やティンダル氷河の質量はそれぞれ-1.7m、-1.2m減少していた。GNSS測量で求めた2022~2023年のルイス氷河の年間流動は12㎝、4㎝であった。表面傾斜と流動量から中央部の氷厚は25m~20mと推定され、ルイス氷河は十数年後に消滅する可能性がある。 ジャイアント・セネシオの幹の枯葉の年代測定により、樹頂点からの距離が160cmの枯葉が1959年、221cmが1960年、280cmが1947年、290cmが1938年、400cmが1889年で、セネシオの成長速度は2.67~3.75cm/年と推測された。3個体の樹頂点から根元までの10cm毎の枯葉のδ13Cは、-22‰から-29‰の間で推移し、樹頂点からの距離が近くなるほど減少傾向があった。近年の温暖化でセネシオ生育地の土壌水分が増加し、乾燥ストレスが低下している可能性がある。 ティンダル氷河の2017-2022年の後退速度は約6m/年であった。氷河末端近くの第一の先駆種は長年セネキオ・ケニオフィトウムであったが、2016年と2017年はチズゴゲだった。氷河末端から先駆種7種の最前線までの距離が2022年と2019年でほぼ同じで、7種が同速度で前進していた。 ケニア山山麓のナロモル地域では、干ばつと水不足に対し、地域住民が作った水管理組合による生活用水の分配が継続されていること、農民が自力で溜池を作って水不足に対応していること、そして乳牛を飼養して自然と社会の不確実性に対応しようとしていることが判明した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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