2022 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア熱帯低湿地火災への多面的アプローチによる熱帯低湿地学の構築
Project/Area Number |
19H00560
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
嶋村 鉄也 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80447987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大出 亜矢子 北里大学, 獣医学部, 助教 (00814203)
内藤 大輔 京都大学, 農学研究科, 助教 (30616016)
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70402089)
杉元 宏行 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70425742)
伊藤 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (70456820)
御田 成顕 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70800655)
久米 崇 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80390714)
増田 和也 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (90573733)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 泥炭湿地林 / 火災 / 地下水位・水路 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯泥炭の燃焼に伴う温室効果ガスの大気への放出、煙害、生態系の荒廃など深刻な環境問題が引き起こされている。本課題ではこの熱帯泥炭火災が生態系にあたえる影響や火災に関わる泥炭の特性に関してインドネシア中央カリマンタン州の泥炭地で調査を行った。 その結果、1)調査地でホットスポットが多く観察された2019年9月直後の10月には、火災に被災していない森林においても落葉量が2倍程度に増加すること、2)北方泥炭同様、熱帯泥炭も一度乾燥させると保水性が低下すること、3)ダムによる水位回復は泥炭の蓄積速度の回復には繋がりづらいこと、4)リアウ州では、アブラヤシ大農園企業が泥炭湿地内に掘削した水路を利用しながら、地域住民が漁場を開拓していることが明らかになった。 泥炭地火災にともない落葉量が増加することは、火災が生じた場所の荒廃をもたらすだけでなく、近隣の生態系にもダメージを与えることを示している。また、落葉量の増加は一時的に森林の光合成量の低下を招く可能性もあり、火災が生じていない場所の炭素動態も大きな影響を受けている可能性を示唆する。泥炭の乾燥に伴う保水性の低下は開発された泥炭が燃焼しやすい理由を実証し、火災に対する重要な知見を示した。ダムによる水位回復は当初期待されたような炭素同化量の増加をもたらさないが、火災に対する脆弱性を改善する可能性があることを示している。また、この地域の住民のレジリエンスは企業など外部からの火災に対する脆弱性を増加させる開発に対しても発揮されており、住民がこのような開発された土地を積極的に管理する動機づけになる可能性を示唆した。このように本課題は泥炭地火災に伴う現象と対策に関して、重要な知見をもたらしている。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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