2019 Fiscal Year Annual Research Report
The study of influences by the influx of refugees on local societies and forest resources
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19H00561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 正和 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60281549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 雅雄 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (00240911)
朝廣 和夫 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30284582)
坂本 麻衣子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (50431474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロヒンギャ難民 / 森林減少 / ホスト社会 / テクナフ半島 / バングラデシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は計画初年度であったため、研究計画全体のベースとなるデータ収集のための調査を重点的に行った。調査対象は大きく分けて、森林と住民である。 森林の状態について過去から現在に至る変化を衛星画像データを使って解析することと、森林に関しては森林状態の経年変化を地球観測衛星LANDSATのアーカイブ画像を使い、対象における変化をNDVI(Normalized Difference Vegetation Index、正規化差植生指数)を使い分析した。対象地全域をLANDSAT 8号に搭載されたOLIセンサ(解像度30M)及びSENTINEL-2に搭載されたMSIセンサ(解像度10M)によるデータを利用してNDVIおよび同様の傾向をもつ他の植生指数を算出し、植物の活性度により5段階(森林、疎林など)のクラスを設定した。樹木が生育するクラス(3~5)に分類された場所を3Dレーザー・スキャナ(Kaarta社製Stencil2)を用い、踏査による点群測量を行い、各クラスの林地内の木質材ストック量を推計する計画で、点群データから森林に転換する方法を模索した。 住民に関する調査としては、住民の社会経済的属性を博するために、テクナフ郡全世帯の10% (約11,500世帯)を対象に世帯調査を行い、ほぼ完了した。テクナフ郡では大規模なロヒンギャ難民流入の起る以前の2016年に同様な調査を実施しているため、今回の住民世帯調査を行うことにより、ロヒンギャ難民流入の社会的影響の一端を明らかにすることができる。さらに、難民キャンプからの距離と世帯の社会経済的属性を分析することにより、現状の影響も明らかになる。これらの世帯調査の結果は「グラム」と呼ばれる村(テクナフ郡151グラム、ウキア郡54グラム)を単位として属性を集計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はほぼ順調に推移している。2019年度の3月にコロナ禍の発生を受けて予定していた調査を延期した。予算も一部を繰り越したが、この調査はもともと2020年度に予定していた調査を研究の進展が順調だったために、前倒しして実施しようとした調査であったので、もとに戻し、2020年度の実施することにしたもので、研究全体の進捗には影響ない。そのほかの項目については、問題なく進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進についても、コロナ禍による渡航の困難さは当面の間継続するものと予想できるが、調査研究項目についてはほぼ計画通り実施する予定である。現地調査については、事業の開始当初から現地の研究者との体制づくりを行い、必要な調査は日本からの渡航が難しい場合でも遂行できる体制が整えられている。現地の研究者、調査担当者とは週1回のペースでインターネットを利用した研究打ち合わせ会議を開催しており、データの伝達、解析も日本とバングラデシュ双方で共同して行っている。このため、調査研究は当初の目的を達成できる見込みである
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