2022 Fiscal Year Annual Research Report
官僚の社会化メカニズムの解明を通じた現代日本官僚制の研究
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19H00576
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科, 教授 (50370078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 慶明 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00619687)
秦 正樹 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10792567)
柳 至 立命館大学, 法学部, 准教授 (20647341)
北村 亘 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (40299061)
伊藤 正次 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
本田 哲也 金沢大学, 法学系, 講師 (40800016)
村上 裕一 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (50647039)
河合 晃一 金沢大学, 法学系, 准教授 (50746550)
曽我 謙悟 京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
手塚 洋輔 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60376671)
原田 久 立教大学, 法学部, 教授 (70275460)
大谷 基道 獨協大学, 法学部, 教授 (80705939)
山田 健 獨協大学, 法学部, 特任助手 (80906694)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2026-03-31
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Keywords | 官僚制 / サーベイ / オーラルヒストリー / 社会化 / 機関哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)2023年度実施予定の官僚を対象とするサーベイの準備を行った。2022年4月以降、前回サーベイの成果である『現代官僚制の解剖』のレビューを行いサーベイ方法を検討した。6月以降、調査会社と具体的なサーベイ方法、サンプルサイズの検討に入った。10月には前回サーベイを関連学会で紹介した(日本教育行政学会)。11月にはサーベイの調査グループを立ち上げ、顧問の依頼を行った。2023年2月以降、各省へ説明を開始し、3月下旬には6省全ての人事担当課へ訪問し協力依頼をした。 (2)学生サーベイでは、公務員志望であるか否かを問わず、進路未決定の大学生に対して進路に関する意識調査を行った。これは、そもそもどのような学生が官僚を志望しているのかという観点から、どのような学生が公務職場を自らの進路として希望し、どのような要素が学生を公務職場に引き付けているのかを明らかにするためである。調査は2023年6月28日から11月9日にかけて実施し、速報値で2,903名の完全回答者を得た。 (3)オーラルヒストリー班は、ある事務次官経験者に対してオーラルヒストリー作成の打診を行い、了承を得た後に、上記事務次官経験者への第1回目のインタビューを実施した(約2時間)。具体的には、大学時代の活動、入省・異動の経緯、担当業務、業務遂行にあたって関わった同僚・上司の各項目について聞き取りを行った。また、インタビューに先立ち、上記事務次官経験者による著作・論文等を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)官僚サーベイについては2023年度実施に向けて前回サーベイの振り返りを踏まえて具体的な準備作業を行った。研究分担者のうち、サーベイに携わる研究者を組織し、質問文の内容、対象者(職位)、対象組織(6省の本省)、調査方法(郵送かウェブか)、調査時期を検討した。さらに、諸事情によりサーベイが予定した時期に実施できない場合に備え、複数の調査時期も検討した。サーベイの検討に際しては各省の人事担当課へ十分な説明を行い、理解を得た。次年度前半の実査開始に向けておおむね順調な準備作業を進めることができた。 (2)学生サーベイについては、昨年度に洗い出した実査上の留意点を克服することで、想定したサンプルサイズを得ることができた。そのために研究分担者の所属大学にくわえて、行政学・政治学の研究者に対して広く協力を求めた。その際、調査の趣旨が十分に伝わるように説明文書を作成した。次年度の実査に向けておおむね順調な準備作業を進めることができた。 (3)オーラルヒストリー班による研究は概ね順調に進んでいる。事務次官経験者からオーラルヒストリー作成について了承を得た後に、第1回目のインタビューを実施することができた。第1回目のインタビュー記録については、テキスト・データ化した上で本人によるテキスト・データへの加筆・修正を終えることができた。また、インタビューにあたり質問すべき項目の妥当性やインタビューの方法の適切性を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)官僚サーベイについては、2023年の実施に向けて本格的な準備段階に入る。具体的には、調査時期の確定、対象者名簿の作成、質問紙の確定、調査システムの構築、各省との連絡体制の構築を行う。同時に、実査が困難となった場合の代替策(延期等)も検討する。さらに、データセットの構築方法や集計・分析方針を立案し、実際の作業を行う人員も確保する。 (2)学生サーベイについては、調査結果をもとに、2024年度以降のパネル調査の検討を進める。今回の調査によって、どのような学生が公務職場を自らの進路として希望し、どのような要素が学生を公務職場に引き付けているのかという点を明らかにできる。ただし、公務員のリクルートメントを考える上では、どのような学生が採用されて、どのような学生が公務職場に適合しているかという観点も欠かせない。そこで、パネル調査を行うことができるかを検討し、可能な場合には第二波調査を開始する。 (3)オーラルヒストリー班は、事務次官経験者に対して、二ヶ月おきに各二時間程度のインタビューを行う。具体的には、自治体出向から事務次官までに就いた代表的な職位ごとに、異動の経緯、担当した業務、業務遂行にあたって関わった同僚・上司の各項目について聞き取りを行い、インタビュー結果をテキスト・データ化する。以上の作業を通じて、事務次官経験者がいつ、どのようにして所属する省の官僚らしさを身につけるのかを分析可能なデータ・セットを構築する。
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