2021 Fiscal Year Annual Research Report
社会的能力の特定化とその育成適正期および教育効果の検証
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19H00619
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Research Institution | Takamatsu University |
Principal Investigator |
松繁 寿和 高松大学, 経営学部, 教授 (50219424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
妹尾 渉 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (00406589)
家島 明彦 大阪大学, キャリアセンター, 准教授 (00548357)
大谷 碧 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい研究員 (00823949)
川嶋 太津夫 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任教授(常勤) (20177679)
和嶋 雄一郎 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (20572093)
平尾 智隆 摂南大学, 経済学部, 准教授 (30403851)
安部 有紀子 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 准教授 (30553416)
白井 詩沙香 大阪大学, サイバーメディアセンター, 講師 (30757430)
飯田 星良 追手門学院大学, 地域創造学部, 講師 (30846316)
森 朋子 桐蔭横浜大学, 教育研究開発機構, 教授 (50397767)
岡嶋 裕子 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (50761649)
柿澤 寿信 大阪大学, 国際共創大学院学位プログラム推進機構, 准教授 (70735315)
堀 一成 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (80270346)
VU MANHTIEN 宮崎国際大学, 国際教養学部, 准教授 (80734045)
山田 礼子 同志社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
梅崎 修 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (90366831)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
山下 仁司 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 教授 (90786526)
井川 静恵 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (20461858)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的能力 / 非認知能力 / 学習成果の測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の流行により学事歴の変更やオンライン授業の大幅導入が行われ、いくつかの学校において本研究で必要となる生徒・学生を対象とした対面による調査・測定を2020年度から開始することが不可能となったため、研究計画を大幅に見直し、2021年度から新学年歴で追う形で開始することとした。ただし、既存のデータや本調査を通じて既に入手された利用可能となったデータに関しては、データの整備、データ・クリーニングを行うとともに、基本的な分析に着手した。 義務教育に関しては、社会的能力と学業成績に関する分析を進めた。特に両者の関係が科目間によってどのように異なるか、また、複数年のパネルデータが入手できたケースにおいては、学年が進むにつれて、両者の関係がどのように変化していくか観察するとともに、それを起こす要因を探った。 高等学校に関しては、協力を得てきた特定の地域の教育委員会からの協力が得られなくなった。そのため、他の都道府県の複数高校に研究協力を依頼し、新たな2校から協力を得ることとなった。これらの学校においては新規の調査となることから、2021年度は打ち合わせを行い、2022年度から本格的な調査を進めることとなった。特に1校においては、課題解決型学習の成果を測定するという新たなテーマを設定することとなった。また、社会的能力の育成に与える活動や経験を特定できるように課外活動や学校外学習および経験に関する情報を入手する方法を検討した。 大学に関しては、1大学において、入学時調査、入学後の学修状況、最終年度の卒業時調査を紐付ける作業を進め、SSH・SGH 校出身、高校での探求学習の経験、AO入試あるいは一般入試の成績間の関係をまとめた。 また、外部のデータや資料が手に入る分野においては、学歴やスキルミスマッチと就業の関係や大学での学修成果に関する市場での評価に関する分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年1月からのCOVID-19の感染拡大により、研究計画の大幅な見直しを余儀なくされた。授業のオンライン化や休講の発生を補うための年度計画の修正が学校で必要となり、教育現場において調査に時間を割くことや調査環境の設定が不可能となるなど、いくつかの計画において年単位での延期が避けられなくなった。 これらに対応し、新たなデータの入手に関しては調査・研究計画の見直しを図ると共に、代替手段として過去のデータの掘り起しやオンラインでのアンケート調査などによるデータの入手も試みた。ただし、複数年に渡る追跡調査を行うには、オンラインでのデータ収集ではサンプルの欠損が多く発生したり、アンケートへの回答時間の統一や測定環境の制御に限界があるために、対面による調査の再開も引き続き検討した。 特に、高等学校での調査に関しては、2021年度まで協力を得てきた特定地域の教育委員会からの協力が得られなくなり、全県に渡り調査が不可能となった。そのため、貸与されたデータも返却が求められ進めてきた分析も中止することとなり、これまでの研究成果を発表することも不可能となった。そこで、他の高校との研究協力を模索し、新たに2校から協力を得ることとなった。年度開始時の生徒の状況を把握することが研究上不可欠であることから、2022年度4月から本格的な調査を進めることとなった。 大学を対象とした調査に関しては、調査対象としてきた大学における運営体制の変更から、これまでのようなレベルでの学生データへのアクセスが困難となり研究方針を調整せざるを得なくなった。ただし、既に調査に協力してくれた学生に別途再度調査への協力を依頼するなどにより1年間の変化を追えるデータを作り、学年を上がることによる成長を観察することとなった。さらに、一部の複数年の情報を得られるサンプルを利用して、パネルデータを作成することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
小・中・高・大学の各教育段階で、パネルデータ作成を目指して新たな年度のWave調査を継続する。また、社会的能力の測定に限らず学修成果やそれらに影響すると思われる学校外教育や正課外活動などのデータの収集も追加して行う。 義務教育期間に関しては、社会的能力の決定要因の特定をさらに進めるとともに経年的変化を補足し、入手された教員の勤務状態や生徒との関わりに関する変化を捉えた変数を用いて、学校での学習環境の差や教員の対応がどのような影響を生徒に及ぼすかの分析を進め、可能になり次第公表する。 一般に義務教育機関で入手可能なデータのうち社会経済的背景の代理関数としてなりうる変数の有効性を検証し成果をまとめる。さらに、社会的能力や非認知能力と学修成果の関係に関する分析を主要科目以外にも広げる。具体的には、体育に関する分析は、小学校低学年において観察される生まれ月による成長のばらつきがその後どのように変化するかに注目する。また、音楽や美術等に関しては、生徒の非認知能力の成長にどのように寄与するかを分析し、これらの科目の教育的意味付けを探る。 高校での調査は対象校の変更により、2021年度にWave1の調査が始まることなる。また、教育の取り組みに関する詳細な情報が把握できる高校においては、課題探求学習が非認知能力涵養や他の科目にどのような影響を与えているかを、入試時の選別から生まれる傾向を把握しながら、傾向スコア分析を応用して研究を進めることとする。 大学に関しては、すでに入手できたデータをもとに、非認知能力とジェネリックスキルを学年間で比較し学生の心的側面の成長を観察した結果をまとめ公表を進める。過去の調査データをまとめ数年にわたる追跡調査が可能な学生については、パネル分析を進め個人の変化しない属性を排除した推定を試みる。
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Research Products
(52 results)