2020 Fiscal Year Annual Research Report
Scaling theories of random quantum systems
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19H00658
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大槻 東巳 上智大学, 理工学部, 教授 (50201976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田野 直道 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70251402)
後藤 貴行 上智大学, 理工学部, 教授 (90215492)
SLEVIN KEITH 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (90294149)
小布施 秀明 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50415121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Anderson転移 / 局在非局在転移 / スケーリング理論 / 転送行列 / 準位統計 / 機械学習 / CNN / LSTM |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本課題が始まって2年目となる。前年度に立案した計画に従い以下の成果をあげた。 1)トポロジカル物質中の波束のダイナミクス:乱れたトポロジカル絶縁体・ワイル半金属における波束の弾道的運動を,運動方程式を解くことでシミュレーションし,状態密度のスケーリング理論(Phys. Rev. Lett. 112, 016402 (2014))により申請者らが提案した速度のスケーリング則を実証した(業績リスト[1])。 2)非エルミート系のAnderson転移:非エルミート性が物性をどのように変えうるかが最近注目を集めている。今年度は非エルミート性を含むポテンシャルを導入することで,Anderson転移の臨界指数が変わることを準位統計から実証した(業績リスト[2])。また,非エルミート系における転送行列法の性質を解析的に調べた。 3)機械学習の適用: 申請代表者は2016年に多層畳み込みニューラルネットワーク(CNN), いわゆる深層学習により固有関数を判定することでランダム量子系の相図を決定できることを明らかにしている[J. Phys. Soc. Jpn. 85, 123706 (2016)]。本年度はこの手法を密度汎関数理論から計算したドープされた半導体における波動関数適用し,金属絶縁体転移の臨界不純物濃度を評価した。また,量子kicked rotorにおける波束のダイナミクスを数値計算から求め,波束の広がり幅をlong-short term memory (LSTM)ネットワークという機械学習の手法で解析し,局在非局在転移の相図を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで臨界指数が正確に求められていなかったWigner-Dysonクラス以外の普遍クラスの研究に取り組み,予定通りの成果を上げることができた。また研究をランダムな非エルミート系にも拡張できた。コロナ禍にもかかわらず本課題のテーマであるAnderson局在の国際会議をオンライン開催でき,300名近くの参加者による活発な情報交換の場を提供できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,Wigner -Dysonクラス以外の普遍クラスの臨界現象の研究をさらに進める。2020年度までは時間反転対称性のある系を調べたが,2021年度は時間反転対称性が破れている系も調べる。また,これまでは3次元系を主に調べていたが,今年度は2次元系にも拡張する。以上のエルミート系の研究に加え,非エルミート系におけるAnderson転移の研究もさらに押し進める。また,標準的なWigner-Dysonクラスについても,並列計算を用いて臨界指数をより正確に決定する。 本年度からランダム系,準周期系における相互作用の効果も調べ始める。特にペンローズ格子における電子密度分布への相互作用の効果を特徴づける。また,本課題に機械学習をより積極的に応用していく。
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Research Products
(20 results)