2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00671
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 伸之 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30750294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微小重力 / オプトメカニクス / 低散逸振動子 / レーザー溶接 / ナノファイバー / 光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プランク質量(約22マイクログラム)よりも十分に重たいミリグラム程度の大質量機械振動子から生じる(微小な)ニュートン重力の観測を目指している。さらに、ミリグラム程度の物体を量子制御(基底状態、量子スクイーズ状態、量子エンタングルメント状態など)することで、量子状態を実現した物体間の重力の初検出を究極的に目指している。 2020年度は、連続変位計測に基づいた振動子の量子制御の原理検証を達成した。離調した光共振器によって光学トラップされた振動子の重心振動を最適推定可能な量子ウィーナーフィルタを開発・適用することで、ミリグラム程度の質量の機械振動子の(条件付き)スクイーズ状態を生成することに成功した。将来的には、量子制御された振動子を重力源としても活用することで、量子と重力実験を統合した新たな研究が実現可能になると期待できる。さらに、量子スクイーズ状態を実現した振動子2つをマイケルソン干渉計で輻射圧力を介して結合すれば、直交位相エンタングルメントの生成にもつながると考えられる。 現在のところ、生成したスクイーズ状態の純度(1のときに純粋状態)は0.0004程度(位置の揺らぎは量子揺らぎ×数百程度、運動量の揺らぎは量子揺らぎ×一万程度)であった。2019年度に実現した世界最小損失の機械振動子を利用することで純度0.9程度まで向上可能であることを示すことにも成功しており、今後の改良で高純度な量子状態の制御が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では振動子の量子制御は本基盤Aの研究期間後に着手する予定であった。しかし、2020年7月に出版されたPhys. Rev. Lett. 125, 043604による機械スクイーズ生成の理論提案に触発され、さらにその提案者たちとの交流や慶應義塾大の山本直樹教授の協力により、新たな量子ウィーナーフィルターの開発と適用を実現することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは量子制御されていない振動子間の微小な重力相互作用の観測に挑む。また、2021年度から本研究の実施場所は東北大学から学習院大へ移ったため、それに伴う種々の作業を実施する(実験系の再立ち上げや新たな雑音源への対策等)。
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Research Products
(3 results)