2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for cosmic PeV particle accelerators using a new cosmic-ray observatory in Andes highland
Project/Area Number |
19H00678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
さこ 隆志 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90324368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 欣也 神奈川大学, 工学部, 教授 (80260991)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙ガンマ線 / 宇宙線加速 / 銀河系中心 / 100TeV |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙を飛び交う高エネルギーの粒子「宇宙線」は、銀河系内の天体でも10^15電子ボルト以上に加速されていると考えられている。一方、加速天体はいまだに明らかになっておらず、宇宙物理学上で最大の謎のひとつである。10^15電子ボルトの粒子が天体周辺の物質にぶつかると、10^14電子ボルトのガンマ線が生成される。発生源から直進して飛来するガンマ線を検出することで10^15電子ボルト加速天体を特定できる。 本研究では、南米ボリビアの標高4700mのチャカルタヤ山中腹に建設された新しい空気シャワー検出器に、地下ミュー粒子検出器を設置することで、世界で初めての南天での10^14電子ボルトガンマ線放射天体を探索する。南半球からは、銀河系中心付近に存在する超巨大ブラックホールや 、超新星残骸、パルサーなど、多様な候補天体が観測可能で、初発見から系統的研究につなげる。 当該年度は、観測サイトのインフラ整備と地下ミュー粒子検出器設計のための地質調査を進めた。観測施設、電気、無線LANによるインターネット通信の整備が終わりインフラは整った。地質調査から検出器設置場所の土質に問題はなく、通常の工事で装置を設置できることがわかった。調査は将来の拡張に向けた範囲についても実施した。ボリビアのサンアンドレス大学、ボリビアの企業を含めてオンラインでの議論を繰り返し、地下ミュー粒子検出器の設計を確定した。コロナ禍で現地での最終打ち合わせが完了していないが、実験に必要な機器やケーブル等の選定と購入を終え、出荷準備が完了している。 モンテカルロシミュレーションによって地下ミュー粒子検出器の設置位置と解析方法を最適化した。その結果、1年間の観測でも複数の天体で有意に10^14電子ボルトを超えるガンマ線を検出できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はボリビアで新たな装置を設置し観測することで目的を達成する。コロナ禍によって現地訪問が叶わない中、現地研究者の努力によってインフラ整備や設計が進んだが、日本人研究者が訪問して設計の最終確認をし、建設を開始するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前半にボリビアを訪問し地下ミュー粒子検出器の設計を最終確認したのち、建設を開始する。年度内に同検出器による観測を開始する。並行してコロナ禍で停滞していた地上検出器の配置と運転開始も進める。こちらは年度前半にデータ取得を開始する。荷電粒子宇宙線の信号を利用して地上検出器単独での性能評価を進め、地下ミュー粒子検出器のデータが利用可能になり次第ガンマ線天体の探索を開始する。まずは、3x10^13電子ボルトあたりの既知の高輝度天体の解析を進め、半年程度で基本性能を実証する。その後、10^14電子ボルトガンマ線放射天体の探索を行う。総観測時間が当初の予定に及ばないが、1年の観測で有意義な結果が得られることがわかっている。
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Research Products
(12 results)