2022 Fiscal Year Annual Research Report
Search for cosmic PeV particle accelerators using a new cosmic-ray observatory in Andes highland
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19H00678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
さこ 隆志 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90324368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 欣也 神奈川大学, 工学部, 教授 (80260991)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河宇宙線 / ガンマ線天文学 / 粒子加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙を飛び交う高エネルギーの粒子「宇宙線」は、銀河系内の天体でも10^15電子ボルト以上に加速されていると考えられている。一方、加速天体はいまだに明らかになっておらず、宇宙物理学上で最大の謎のひとつである。10^15電子ボルトの粒子が天体周辺の物質にぶつかると、10^14電子ボルトのガンマ線が生成される。発生源から直進して飛来するガンマ線を検出することで10^15電子ボルト加速天体を特定できる。 本研究では、南米ボリビアの標高4700mのチャカルタヤ山中腹に建設された新しい空気シャワー検出器に、地下ミュー粒子検出器を設置することで、世界で初めての南天での10^14電子ボルトガンマ線放射天体を探索する。南半球からは、銀河系中心付近に存在する超巨大ブラックホールや 、超新星残骸、パルサーなど、多様な候補天体が観測可能で、初発見から系統的研究につなげる。 前年度分繰越予算によって2022年9月に稼働を開始した地上検出器の遠隔モニタと解析を進めた。遠隔モニタではネットワークと電源の不具合が少数見られたが、現地研究者の対応によってすぐに回復することができた。多数の検出器で9月に解決できなかった光漏れが発見され、2023年3月の訪問で解決した。解析では較正前のデータで1度の角度分解能が確認され、この分解能から期待される月の影が約100日のデータで4シグマで検出された。初期データとはいえ、期待通りの性能が発揮されている。 地上検出機拡張用に乗鞍観測所から確保したプラスチックシンチレータを、ALPACA実験に利用できる厚さに加工した。また、ガンマ線検出時のガンマ線到来頻度の計算において、モンテカルロ計算中のハドロン相互作用モデルの影響を調べ論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初48台で運転予定だった地上検出機を97台で運転することが実現した。地上検出器は運転開始から予定通りの性能を発揮し、荷電粒子宇宙線と高強度ガンマ線天体の解析が可能になった。また、さらなる増強の準備も整っており、地上検出器による成果創出が可能になった。後述の通り、地下ミュー粒子検出器を大型科研費で効率的に製作することにする。
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Strategy for Future Research Activity |
地下ミュー粒子検出器1台の設置を目指していたが、本年度より大型科研費が採択された。本科研費による設計と現地調査の結果を基礎に、大型科研費によって4台のミュー粒子検出器を効率的に製作することにする。2023年度中の着工を目指す。地上検出器の運転を続け、荷電粒子宇宙線による異方性の研究、高強度ガンマ線天体からの10TeV領域ガンマ線の解析を行う。
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Research Products
(6 results)