2023 Fiscal Year Annual Research Report
太陽風多価イオンのX線放射観測に対する地上実験からのメッセージ
Project/Area Number |
19H00701
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田沼 肇 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30244411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 裕之 核融合科学研究所, 研究部, 助教 (40250112)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (50361837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | X線天文学 / 太陽風電荷交換 / 中性水素原子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
都立大で開発した高速中性水素原子ビーム源を電通大に輸送し,電子ビームイオントラップ (EBIT) 装置に接続した。同時に,これまでEBITに取付られていたX線用のGe検出器を外して,シリコンドリフト検出器を取り付けた。非常に希薄なフェロセン蒸気をEBIT本体に導入して,完全電離した鉄が生成可能な10 keV以上のエネルギーの電子ビームによってイオン化し,裸からHe様までの鉄多価イオンを同時に狭い空間の中にトラップした。このイオン雲の中へ高速中性水素原子ビームの入射を試みたが,ビームがイオントラップの電極表面に当たると表面に吸着していた気体が大量に放出されて真空度が急激に悪化するという予想外の現象が起こった。そのために,当初の目標である太陽風速度での多価イオンと中性水素原子の衝突を実現することは不可能であることが判明した。そこで,水素原子と同じイオン化エネルギーを持つメタンをEBITに導入することで,鉄多価イオンとメタンの電荷移行反応を起こさせ,それに伴うX線スペクトルの測定を行った。電子ビームをパルス化して,リストモードによって電子ビームがオフの時間とオンの時間のシグナルを積算することで,電子ビームとの衝突による発光と,電荷移行反応による発光を分離して観測することに成功した。水素様イオンが電子捕獲によってヘリウム様になったとき,一重項からの共鳴線より三重項からの禁制線の方が強度が強いことが判った。この現象は酸素については報告例があるが,鉄については初めての結果である。また,非常に高い励起状態からの発光や励起状態間の発光も観測され,電荷移行反応による励起状態の生成機構を解明するために貴重な実験的データが取得できた。水素様とヘリウム様の鉄多価イオンは高温宇宙プラズマでも観測されており,プラズマからの発光診断のために,今回の測定データが活用されるように詳細な解析を行っていく。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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