Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄田 英典 東京工業大学, 地球生命研究所, 准教授 (90456260)
新原 隆史 岡山理科大学, 総合理学専攻, 准教授 (20733679)
鹿山 雅裕 東京大学, 大学院総合文化研究科広域科学専攻, 助教 (30634068)
小池 みずほ 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (60836154)
三河内 岳 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30272462)
佐野 有司 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任教授 (50162524)
松井 孝典 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 所長 (80114643)
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Outline of Annual Research Achievements |
2020年度までに確立した3次元衝撃回収実験手法を用いて系統的な実験(黒澤, 新原, 松井, 科研費雇用博士研究員)を行った. 試料が経験した温度圧力は数値衝突計算で評価する手順を確立した(黒澤, 玄田). 手始めに地球の岩石である大理石, 玄武岩, 花崗岩の衝撃応答を詳細に観察した(新原, 三河内, 小池, 鹿山, 佐野, 科研費雇用博士研究員).その過程で独国フンボルト博物館のChristopher Hamann博士との共同研究体制を築くことができた. 現在までに(1)炭酸塩鉱物(Calcite)は>3 GPaの衝撃で波状消光を示すこと, (2)花崗岩, 玄武岩中の衝撃変成は概ね既存の衝撃変成指標であるStoffler tableによる分類と一致すること, (3) 花崗岩中で8-18 GPaでFeather featuresと呼ばれる組織が形成されること, (3)花崗岩中では10-20 GPaで脈状の高圧相鉱物及び熔融ガラス組織が形成すること, (4)玄武岩中では~10 GPaで熔融ガラスの脈が形成すること, を明らかにすることができた. 地球の岩石にも隕石と同種の鉱物が含まれているので, これらの結果は隕石中鉱物にも適用可能であろう. 特に炭酸塩鉱物は小惑星リュウグウの試料に含まれていたことから, 衝撃指標として早速応用できる可能性がある. (1)の結果は国際誌に投稿済み, その他の成果は投稿準備中である.
また本研究課題の目玉であった試料の事前加熱装置を用いた衝撃回収実験手法も確立しつつある. 初期温度を上げた衝撃回収実験は実験的な困難から世界的にもデータに乏しいため, 世界に先駆けた成果を挙げることができると期待される.
実際の隕石分析でも成果があった. 研究チームで手に入れた未分類隕石の各種分析を行い基本的な記載を行った(新原, 三河内). この隕石はEL-melt rock NWA 14248として国際隕石学会に登録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料の事前加熱装置の破損トラブルにより, 加熱試料の衝撃回収実験に遅れが出ている. 一方で独国フンボルト博物館のChristopher Hamann博士との共同研究体制を築くことができ, 今後の研究は加速的に進むと期待できることから(3)やや遅れている。の分類とした.
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費で雇用していた博士研究員1名が2021年度末に退職したため, 新しい博士研究員を6月から雇用し, 研究に従事していただく. これまでに得られた成果はすでに4報の論文として投稿準備中である. これらの論文を完成させるため引き続き執筆を進める. 2021年度に予定していた事前加熱試料の衝撃回収実験を中心に研究を推進する. また今年度は実際の隕石を用いた系統的な衝撃回収実験も実施する.
昨年度までで我々自身のデータを蓄積していく準備が整い, 今後は加速的にデータを取得できる見込みである. 我々のデータと既存の隕石の衝撃変成データをコンパイルし, 太陽系軌道進化モデルを評価する研究を推進する.
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