2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子性強誘電体のイノベーション:柔粘性結晶を利用した高性能焦電・圧電材料の開発
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19H00884
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原田 潤 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (00313172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子性固体 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電体は,結晶内で電気双極子が整列してマクロな分極が保持され(自発分極),ある閾値(抗電場)以上の外部電場を印加することで分極の向きを反転できる物質である.このスイッチ可能な自発分極は,不揮発性メモリーなどに応用可能で,また,焦電性(温度変化で分極の大きさが変化),圧電性(加圧で分極の大きさが変化)を活かした赤外線(熱)センサー,圧電(ピエゾ)素子などの実用例が数多く存在する. 近年,分子結晶の強誘電体が注目され,盛んに研究が行われている.しかし,従来の分子性強誘電結晶は,単結晶でしか機能せず,その実用化には大きな制約がある.我々は最近,イオン性分子からなる柔粘性/強誘電性結晶を開発し,分子結晶として初めて『電場印加による結晶分極の三次元的再配向』に成功した.このタイプの結晶は配向制御が不要で,多結晶材料でも機能する. 本研究はこの柔粘性/強誘電性結晶の開発を大きく発展させる.特に,強誘電体の示す重要な機能である焦電性・圧電性で極めて高い性能が期待できるので,これらの機能に着目して結晶開発を行う. 2021年度は,前年度までに引き続き,極性を持ち球状に近い有機カチオンと正四面体型のアニオンから構成される柔粘性/強誘電性イオン結晶の開発を行った.また,無極性の有機カチオンとアニオンからなる分子性強誘電性結晶についても検討を行った.さらに,これまで柔粘性/強誘電性イオン結晶の構成分子とはなっていなかった,球形から大きく外れた有機カチオンを含む結晶も,柔粘性/強誘電性結晶となることが明らかとなった.これらの化合物もその粉末を高温で加圧することで,透明なバルク多結晶体を容易に作製することが出来た.また,電極基板上に結晶薄膜を作製することで,低い電圧での分極反転を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで柔粘性/強誘電性結晶の構成分子としての報告例のない有機カチオンなどとアニオンからなる柔粘性/強誘電性結晶を開発に成功した.これにより,柔粘性/強誘電性結晶の開発対象が広がった.また,電極基板上に結晶薄膜を調製することにより,低電圧での分極反転も可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,様々な構造を持つ極性の有機カチオンと四面体構造を持つアニオンからなる強誘電性結晶および無極性の有機カチオンとアニオンからなる強誘電性結晶の開発を進める.また,得られた強誘電性結晶を様々な形状の多結晶体に加工する方法の開発も進める.
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