2020 Fiscal Year Annual Research Report
Water Oxidation on Semiconductor Photocatalysts: How Completed under Dilute Photon Flux
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19H00915
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 洋 神戸大学, 理学研究科, 教授 (20213803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 康博 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (00282038)
高橋 康史 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (90624841)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応速度論 / 電子励起状態 / 酸素生成反応 / マイクロ電極 / 電子スピン共鳴 / 赤外吸収 / 人工光合成 / ペロブスカイト構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界最高の量子収率で水を完全分解する半導体光触媒(NaTaO3とSrTiO3)は希薄な励起光フラックスのもとで水を酸素に変換する4電子酸化反応を完了する。この反応の中間体化学種は半導体光触媒の表面に生成して自由な水に曝されるにもかかわらず失活せずに酸化反応を完了できるのはなぜだろうか? この問いに答えるために、光触媒と水の界面に生成する中間体と最終生成物(溶存酸素)の生成消滅を1 msの時間分解能で追跡する計測法を構築し、紫外LED光のもとで進行する逐次物質変換を速度論的に解析する。異なる金属元素から構成される二つの光触媒(NaTaO3とSrTiO3)による反応メカニズムから共通点を抽出し、長寿命かつ反応活性な中間体をデザインするための普遍的なコンセプトの提案をめざす。 3年計画の2年次となる2020年度は前年度までに構築した計測法を用いて、水中で紫外光励起した光触媒の計測評価を開始した。(1)人工光合成をおこなう光触媒が水を分解してつくる酸素(O2)を従来比1000倍の速度(時間分解能0.1 s)で検出することに成功した。マイクロ電極で測定した電流変化を、酸素拡散シミュレーションの結果と比較することで光触媒に紫外光を照射してから酸素が水中に放出されるまでに1-2秒のおくれがあることを明らかにした。これは従来のガスクロマトグラフを用いる酸素検出では決して観測することのできなかった新しい現象である。 (2)水中においたNaTaO3光触媒に紫外光と赤外光を同時照射して電子励起状態の赤外吸収を測定した。伝導帯に励起された電子が周囲の結晶格子を歪めることで生じるポーラロンによる吸収バンドが1000-5000 cm-1に、荷電子帯に生じた正孔と格子歪みからなるポーラロンの吸収バンドが2000-6000 cm-1に現れた。 (3)紫外光照射したNaTaO3光触媒の電子スピン共鳴スペクトルが、NaTaO3光触媒に0.1 wt%のNiO助触媒を加えることで減衰することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度(2019年度)発生した機器故障のために計画より遅れたスタートとなったが、幸いなことに、マイクロ電極による酸素高速検出と水中赤外分光の実験が予想よりも順調に進展したため、全体として計画にそって順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年次となる2021年度は全体計画にそってNaTaO3とSrTiO3の共通点と相違点を抽出し、長寿命かつ反応活性な中間体をデザインするための普遍的なコンセプトの提案をめざして研究を続ける。
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Research Products
(16 results)