2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural Dynamics of Nitric Oxide Reductases Srudied by Time-Resolved Techniques
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19H00926
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
城 宜嗣 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (70183051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一酸化窒素還元酵素 / 脱窒 / 嫌気呼吸 / 髄膜炎菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑膿菌の一酸化窒素還元酵素(cNOR)と髄膜炎菌の一酸化窒素還元酵素(qNOR)を研究対象とした。cNORに関しては、caged NO(紫外光照射によりNOを放出)と時間分解分光解析を組み合わせた測定により、以下の反応機構を提案した。cNORが触媒するNO還元反応は3段階で進み、第一段階(数マイクロ秒)で1分子のNOが活性中心に配位し、第二段階(数百マイクロ秒)で配位構造の変化があり、第三段階(数ミリ秒)で二分子目のNO、プロトン、電子が供給されて、N-N結合の生成とN-O結合の階裂がおこり、亜酸化窒素(N2O)が生成する。この反応機構では、2つの短寿命反応中間体が生成するが、その電子状態・配位構造に関しては、時分割赤外分光とESR測定に成功した。現在、詳細を解析中である。提案した反応機構は従来から考えられていたものとは、NO配位とプロトン供給のタイミングが全く異なっていた。 髄膜炎菌qNORの低温電子顕微鏡(クライオEM)を用いた溶液構造解析に成功した。今まで、X線結晶構造解析ではqNORの単量体構造しか得られておらず、単量体よりも活性が高いqNORの二量体構造を得る事ができた。病原菌の膜内でも同様の構造であると推定できた。また、溶液状態においては、非ヘム鉄へのGluの配位は解離し易くなっている事が明らかとなり、この性質が酵素反応におけるプロトン供給と関連していると議論できた。現在、qNOR単量体ならびに阻害剤結合型二量体のクライオEM構造解析を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一酸化窒素還元酵素cNORの酵素反応中に現れる短寿命反応中間体のうち、第一の反応中間体(寿命~マイクロ秒)の解析は順調に進んでいる。る第二反応中間体(寿命~数百マイクロ秒)の赤外スペクトルの測定には未だ成功していない。 ESR測定によって、第一の反応中間体を安定に生成させる方法として、77Kでのcaged NOの紫外光照射(クライオフォトリシス法)と185Kへのアニーリングの手法が使える事が分かった。この手法をcNOR結晶に適用してcNOR第一反応中間体の構造解析の可能性が高くなった。 髄膜炎菌qNORがクライオ電顕で高い分解能の構造を得る事ができる膜タンパク質である事がわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
cNORの第二反応中間体の捕捉には、プロトン供給経路を遮断したために活性が無くなった変異体(E57A)を用いて、時間分解赤外分光測定を行う予定である。また、cNORで用いた同様の手法をqNORにも適用し、その反応機構の解析と2つの反応中間体の捕捉を試みる。さらに亜硝酸還元酵素NiRの存在におけるcNORの反応解析も試みる。 一方、cNORとqNORの両酵素に対して、クライオフォトリスとアニーリング法を適用し、X線結晶構造解析とクライオEM法を用いた第一反応中間体の構造解析を行う。
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Research Products
(9 results)