2021 Fiscal Year Annual Research Report
ムギ類種子休眠性遺伝子の分子進化機構の解明と精密育種技術の開発
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19H00943
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 和広 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (60215770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安倍 史高 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (30370547)
大西 一光 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50526704)
久野 裕 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70415454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 遺伝解析 / 育種技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Qsd1の解析と制御:a)野生オオムギと栽培オオムギのQsd1配列では4つのアミノ酸置換が確認されている。このアレル別の過剰発現個体の形質転換体の種子休眠性に対する効果を確認するための温室内栽培を継続実施した。b)オオムギQsd1のゲノム編集によって得られた変異体の効果を解析し、その効果について論文出版した。c)コムギのゲノム編集技術を用いて、作出した3つのサブゲノムのQsd1をそれぞれ改変した個体の野外栽培を2021年11月から実施中である。d)Qsd1変異体におけるタンパク質と休眠性の関連については継続実験中である。e)コムギの主要品種「春よ恋」と「きたほなみ」の人為突然変異集団からQsd1配列の変異体をTILLING法で選抜し、サブゲノム変異体の効果の確認作業を進めている。 2)他の遺伝子の解析と制御:a)ゲノム編集によるオオムギQsd2遺伝子の改変によって、自然変異以外の変異体の作成と種子休眠性に対する効果を確認した。さらに、1)b)で作成したQsd1のゲノム編集個体との集積効果確認し、その成果を論文出版した。b)イネを中心に、ムギ類以外の種子休眠性同祖遺伝子のコムギのゲノム編集を試みているが、明確な効果は検出できていない。 3)遺伝子進化相互作用解析:a)新規にGenotype by Sequence法で作出する約7万のマーカーによってオオムギ約4千系統についてのゲノムワイドアソシエーション解析(GWAS)のマーカー解析を終了し、解析のためのパイプライン構築が終了した。b)休眠型のqsd1を持っているにもかかわらず休眠しないエチオピア在来品種と「はるな二条」(休眠短)の交雑、野生オオムギ( 休眠長)と「はるな二条」の交雑、野生オオムギとエチオピア品種の交雑に由来するQTL解析を反復実施し、マーカー解析が終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オオムギの形質転換体およびゲノム編集による種子休眠性の変異体作成は順調である。TaQsd1編集コムギについては、ゲノム編集に用いた品種に加えて、栽培品種の遺伝背景に戻し交配により導入した材料の作成が完了し、野外試験を開始している。マーカー作成は海外への委託分析およびデータ取得は完了したが、解析のパイプラインの設定が終了したところで、具体的な解析は最終年度に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進に大きな問題はなく、成果の出版も順調である。
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