2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the neural mechanism to drive the functional recovery of dexterous hand movements after spinal cord injury by prediction error
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19H01011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機能回復 / 運動制御 / 予測誤差 / マカクザル / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前より当研究室では主としてマカクザルの中部頚髄(C4/C5髄節)における側索背側部切断による脊髄部分損傷モデルにおける機能回復機構の研究を行ってきた。この場合は手指の巧緻運動は良く回復する。そして、このモデルにおいて、高γ帯域の運動関連活動が損傷直後に大きく増加することを報告しており、この増加が、運動指令と運動の結果とのフィードバックを示す予測誤差であるという仮説を立てており、それを証明することが本研究課題の目的である。令和元年度、我々は、より損傷範囲の大きな亜半切モデルのサルを作成することにした。これは、より損傷が大きいために予測誤差がより強く検出されるのではないかと考えたからである。そしてこの亜半切モデルにおいて、到達ー把持運動の機能回復の過程とその際の運動前野、一次運動野、一次体性感覚野の表面に留置した皮質脳波(ECoG)電極による脳活動の変化を記録し、側索背側部損傷モデルと比較した。その結果、把持運動の回復は遅く、さらに不完全だった。一方で、側索背側部損傷モデルで、損傷後早期に観察され、回復とともに減弱していく運動関連領域における高γ帯域の活動の増加は観察されなかった。むしろ高γ帯域の運動関連活動は損傷直後から徐々に増加していく傾向にあった。上述のように、我々はこの高γ帯域の運動関連活動の増加が、運動指令と運動の結果とのフィードバックを示す予測誤差と考えていたが、今回のような亜半切モデルでは、状況がかなり異なることがわかった。そして解釈として、症状が重篤であることから運動指令そのものがあまり出せていなかった可能性があると考え、今後はやはり亜半切モデルではなく、側索背側部損傷モデルで研究を続けることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上肢の到達ー把持運動運動の訓練を行ったサルを用いて中部頚髄亜半切モデルを作成し、損傷前から損傷後6カ月以上にわたり、運動機能の回復過程における把持運動の成績と、運動前野、両側の一次運動野、一次体性感覚野の表面に留置した合計36チャネルのECoG電極による脳活動の計測を継続して行った。その結果、運動中の高γ帯域成分は、障害肢の反対側一次運動野において最も強く記録され、損傷後、徐々に増加を続けることが明らかになった。このような一連の実験を遂行し、その過程において実験システムが全て問題なく作動していることが確認でき、さらに今後の実験に向けてのサルへの筋電図やECoG電極の埋め込み手術の完了しており、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は側索背側部損傷モデルに注力し、さらに視床への多チャネル電極の埋め込みに向けて新しく刺激記録装置を購入し、研究を加速させる。特に問題は感じていない。
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Research Products
(15 results)