2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01031
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
油谷 浩幸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10202657)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エピゲノム / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
同一の遺伝子変異を有する細胞から構成されるクローナルな細胞集団であっても、がん幹細胞をコアとするエピゲノム多様性が存在することから、悪性化メカニズムの解明にはがん幹細胞の維持および細胞分化に関わるエピゲノム制御機構の解明が重要と考えられる。 1)幹細胞複製に重要なWntシグナルの制御に関わる長鎖ノンコーディング(lnc)RNAの同定とその機能解析を継続した。ヒト大腸がんで発現亢進する遺伝子として同定したlncRNAは大腸がんのみならず、βカテニン変異を有する肝細胞がんや肝芽腫おいても高値を示しており、WNTシグナルによる増殖を維持するために重要な因子と考えられた。当該lncRNAノックダウンにより不活化されるエンハンサー領域にCTNNB1/TCF4に加えて共局在する転写因子が同定された。 2)抗がん剤治療に対して増殖を停止した状態で腫瘍細胞が残存することが知られており、薬剤抵抗性の原因となることから、そのメカニズム解明が重要な課題である。抗がん剤処理により、大腸がんオルガノイドが増殖停止、再増殖開始するモデルを用いて、再増殖に際して活性化されるシグナル制御についての解析を継続した。一細胞トランスクリプトームに加えてATAC解析を実施し、擬似時間解析によってアクセシビリティが増加するエンハンサー領域を同定し、増殖停止状態から細胞周期にリエントリーするにあたって活性化される転写因子候補を絞り込んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナル制御に関わる長鎖ノンコーディングRNAとして同定していた遺伝子の機能解析が順調に進んだ。 抗がん剤処理によって増殖停止した状態から再び細胞周期にエントリーする際に活性化される遺伝子を制御するメカニズムについて、一細胞ATAC解析によって候補となる転写因子が同定された。
|
Strategy for Future Research Activity |
βカテニンシグナル制御に関与する転写因子について、クロマチン結合領域の同定やエピゲノム修飾などの解析を進めるとともにlncRNAと転写因子の核内局在について検討を開始する。細胞間相互作用を解明するために、空間的トランスクリプトーム解析を実施する。 細胞分裂停止状態から再増殖する過程で活性化される転写因子候補についてChIP解析を実施して標的となる遺伝子の同定をすすめる。
|
-
[Journal Article] Accumulation of Molecular Aberrations Distinctive to Hepatocellular Carcinoma Progression2020
Author(s)
Midorikawa Y, Yamamoto S, Tatsuno K, Renard-Guillet C, Tsuji S, Hayashi A, Ueda H, Fukuda S, Fujita T, Katoh H, Ishikawa S, Covington KR, Creighton CJ, Sugitani M, Wheeler DA, Shibata T, Nagae G, Takayama T, Aburatani H.
-
Journal Title
Cancer Research
Volume: 80
Pages: 3810~3819
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Defined lifestyle and germline factors predispose Asian populations to gastric cancer2020
Author(s)
Suzuki A, Katoh H, Komura D, Kakiuchi M, Tagashira A, Yamamoto S, Tatsuno K, Ueda H, Nagae G, Fukuda S, Umeda T, Totoki Y, Abe H, Ushiku T, Matsuura T, Sakai E, Ohshima T, Nomura S, Seto Y, Shibata T, Rino Y, Nakajima A, Fukayama M, Ishikawa S, Aburatani H.
-
Journal Title
Science Advances
Volume: 6
Pages: eaav9778
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-