2022 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格ダイナミクスに基づく分子輸送制御システムの解明と革新的癌創薬への新展開
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19H01064
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 教授 (70444677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 助教 (20733322)
黄 鵬 岡山大学, 中性子医療研究センター, 研究准教授 (00610841)
竹居 孝二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40322226)
竹田 哲也 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (30302368)
落合 和彦 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (30550488)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
山田 浩司 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80325092)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 癌創薬 / 細胞内輸送 / in vivo投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱癌細胞を用いた研究では、Dynaminおよびその関連分子群の細胞骨格動態に関する機能の解析を行うべく、基盤となる研究を実施し成果を得た。また引き続き各種癌細胞・正常細胞を用いた研究を実施すると同時に、様々なステロイドレセプターの細胞内動態に関する研究を遂行した。従来の方針に基づく幹細胞に関する研究として、各種の幹細胞について表現型解析等を実施し、癌細胞と比較する形で今後のDynamin-微小管の動態解析に供する方向性とした。昨年度に引き続き、各種細胞において、細胞骨格因子が関わる細胞内分子輸送システムに重要と考えられるタンパク質群等の発現を網羅的に解析した。特に、REIC/Dkk-3、SGTA、Tctex-1、Dyneinモーター、Dynaminおよびその他の細胞骨格(制御)因子に着目して、それら発現レベルにおけるステロイドレセプターの細胞内動態を解析した。より具体的には、従来の男性ホルモンレセプターの核内移行の解析実験系に基づき、その他のステロイドレセプターの核内移行に基づく表現型解析系を用いて解析を行った。すなわち、Dynamin関連分子の細胞内発現量に基づくステロイドレセプターシグナル動態について解析を行い、細胞内分子輸送システムの観点から各種細胞骨格因子について機能解析を行った。また癌創薬の観点から複数のDynamin阻害物質に関して応用展開研究を実施するべく、試験薬等のin vivo投与での作用機序解明に係る各種動物実験の解析系の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の膀胱癌細胞を用いた研究にて、Dynaminおよびその関連分子群の細胞骨格動態に関する機能の解析を行い、一定の成果を得た。また現在までの進捗状況として、正常細胞を用いた研究では、糸球体足細胞におけるDynaminと微小管の関係についての研究を実施した。すなわち、Dynaminが微小管束の形成に働き、結果として微小管を安定化させる可能性を見出した。さらに引き続き各種ヒト細胞において、本研究のKeyとなる細胞骨格制御タンパク質:Dynaminの解析の軸として研究を進めた。幹細胞に関する研究としては、多能性幹細胞と組織特異的幹細胞についての表現型等の解析を実施し、癌細胞と比較する形で今後のDynamin-微小管の動態解析に供する方向性とした。また、細胞内における分子輸送の観点から、これまでのステロイドホルモンレセプターの核内移行に基づく実験系について検証実験を行った。特に、Dynaminの細胞内発現量に基づくステロイドレセプターシグナル動態について解析を行い、細胞内分子輸送システムの観点から各種細胞骨格因子について機能解析を行った。一方で癌創薬の観点から、候補薬の内視鏡下生体内投与による作用機序解明の為のイヌを用いた動物実験の系が立ち上がりつつある。すなわち、新しい薬剤投与手技を用いて各種薬剤の薬効評価を実施することが可能となりつつある。各種難治性疾患に対する候補薬の薬効解析系として、引き続き当該投与技術の確立に取り組む。これらの成果により、本研究は、おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
癌等の各種難治性疾患に対する新規治療法の開発は、医療研究分野において極めて重要な課題である。今後の研究では、特に尿路系癌細胞において、Actin線維-微小管細胞骨格制御に必須のタンパク質:Dynaminの制御に関する各種の関連タンパク質の機能を解析する。我々はこれまでの研究によりDynaminによるActin線維への作用について、活性型Dynaminの集合体から成るDynaminリングによりActin線維が集束されることを明らかにしている。また、Dyneinモーターによる細胞維持必須分子の微小管輸送のトラックに細胞骨格が利用されることが知られている。現時点での仮説として、これらのDynamin関連タンパク質が、DynaminのGTPアーゼとしての機能と通してActin線維-微小管細胞骨格ダイナミクスによりDyneinモーターを制御し、結果として各種シグナル分子等の微小管輸送および細胞骨格制御に重要な役割を果たすことが考えられる。さらに、微小管細胞骨格ダイナミクスに基づく当該癌細胞の具体的な悪性形質の変化についても解析を加え、細胞生物学的観点からの新しい基礎研究・創薬研究の切り口を明確にする。 一方で今年度までと同様に早期に臨床的出口の方向性を模索するため、将来的な創薬の候補となる各種試験薬について、局所治療薬としての治療有効性を再現性の高い形で解析するための動物実験解析系を確立していく。具体的には、イヌ膀胱において簡便に信頼性の高い形でin vivo投与での作用機序解明・効果定量を可能とする薬剤投与・評価方法を確立する。当該動物実験解析系は、今後、革新的創薬への新展開に不可欠の技術であると考えており、今後も各種薬剤を用いた当該治療的投与法の確立に向けた研究を実施する。
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